変わり者姉妹、合流を目指す模様 (ページ41)

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第364話妹、マジギレするページ41

ひどく、現実感がなくて。俺が咄嗟に赤の拳を蹴り上げたのも。すぐに殺しにいかなかったのも。きっとそのせいだった。自分でも不気味なくらい、冷静に命じる。
「ジンベエ、ルフィを安全な場所へ。鳥野郎、火拳の遺体を移動させておけ」
「……わかった！」
「お前……！」
「ああそれと、鳥」
近くに降り立った鳥野郎に、そっと耳打ちをした。
「火拳助けたいんなら、俺を船に乗せろ」
「……え？」
「考えといてくれ」
もう、そこまでで限界だった。頭の処理が現実に追いついちまって、どうしようもないリアルと殺意を自覚した。
(よくも、よくもエースを。殺す、殺してやる。泣いて許しを乞うたってやめるものか。精神ぶち壊して、プライドずたずたにして、目を抉って腹かっさばいて、原型とどめないくらいにコワシテやる)
「殺すッ！」
腹の底から噴き上がる怒りと憎しみに身を任せて、雪月花を振るった。が。
ザシュッ！
舞散った血液は、赤のものじゃなかった。
「梨香、やめなさい」
「ッ！？」
姉貴は、「気持ちはわかる」と言いたげな。一方で戒めるような顔つきで俺を見つめた。その途端、壊れた蛇口みたいに際限なく噴き出していた負の感情が一気に収まる。姉貴の穏やかで、でも冷たい目つきが俺の身体を冷やしていく。
「梨香、私達の目的は殺しじゃない。そうでしょ？一時の感情に惑わされるな」
「……ああ、すまん」
「これ以上被害を出す意味はない。私が足止めをするから、早急に白ひげさんを説得し撤退を」
「わかった」
やれやれ、俺に関することにゃ惑わされっぱなしの姉貴に言われるとは……情ねェ。もっと修行が必要だな。