変わり者姉妹、合流を目指す模様 (ページ22)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:3,605 hit

第346話姉、ロックオンされるページ22

(暗くなってきたな。そろそろ明かりが見えるといいんだが)
新世界に入って早数時間、だいぶ視界が悪くなってきた。日の落ち方からすると、今はだいたい6時頃か。覇気の範囲を確認しても、島が見えてきていい頃合。そう思っていると。
(──お、噂をすればなんとやら)
やはり夕食どきであるからなのか、屋台やレストランの明かりが美しく踊る島。そこに僅かながら影のように点在している暗い場所に向かって、私は急降下していった。情熱の国──ドレスローザへ。
林に降り立つとまずは翼を仕舞い、海楼石を下ろす。それから木の下に座りこんで思案した。
ご飯は食べたいところだけど、残念ながらお金がない。泊まる場所は……最悪ここでもいいか。そして1番注意すべきなのは、ドフラミンゴに見つからないようにすること。あいつは強いし、なによりおそろしく傲慢だ。頂上戦争で私に目をつけていないはずがないだろうし、近くにいるとわかれば確実に関わりに来るだろう。これらを全部踏まえると──うん、さっさと寝たほうがいいですな。さすがにこのまま寝るのは寒いから、適当に麻袋でも拝借してくるか。そうと決まれば早速
「フッフッフッ！どこに行くんだ、子猫ちゃん？」
「ぎッ！？」
……ああ、そうか。私、意識してない間にフラグを建設してたんだな。
絶望を抱えたまま、ゆっくりと振り返る。ピンクのモフモフ、これでもう読者の皆さんはおわかりであろう──はい私の背後にはドフラミンゴさんがいらっしゃいました。
「どこか雨風をしのげる場所はないかと」
「泊まるあてはないのか？」
「あんなにやらかしといてあてがあるわけないでしょ」
「フッフッフッ！それもそうか」
話しながらゆっくりと後ろに下がり、見聞色を全力で発動。糸で触れられたら終わりだ、慎重に慎重に
「なら、おれのうちに来るか？」
「……え？」
おい、今こいつはなんて言った？「おれのうちに来るか？」？それは、つまるところ。
「知ってるかどうかは知らねェが、おれは一応この国の国王をやってるからな。一夜の宿を用意するくらいわけはない」
「…………」
「そんなに警戒するな。ただ興味があるだけだし、今は王下七武海ではなく一国の王としてお前を招待する。まあちょっとした条件も付くがな」
(お前らはつくづく興味本位で危ない橋を渡るな！？)
──ともかく。快適な宿が1晩獲得できるのは魅力的だ。条件というのは気になるが、いざとなれば麻痺らせて逃げればいい。
私は、コクリと頷いた。