変わり者姉妹、運命に抗う模様 (ページ7)

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第291話到着、脱獄組！ページ7

ゾクリ……！
「ひっ……！」
落下してくる軍艦を視認した瞬間、マリンフォードにいる全ての人間──特に海軍が、凄まじい殺気を感じた。憎悪と怒りを凝縮した、まるで灼熱のような。
ドッパァアァ・・・ン！
幸運にも凍っていない箇所に着地した軍艦の上に這い出る囚人達。その中には当然、梨香の姿もあった。その黒いマントを視界に収めた瞬間、全員が確信する。この殺気は、あの小さい存在から発されているものだと。そのあまりの激しさに七武海、三大将と元帥、さらに白ひげも息を呑む。
彼らの視線を全て無視し、梨香は自然な動作でモビーディック号へと上がった。そして白ひげと会話をしているルフィをつつき、呼ぶ。
「ルフィ」
「なんだ？」
「俺、先に行ってていいか？」
「ああ、死ぬなよ！」
「冗談言うな、たっぷり休んできたっての」
ふっと不敵に微笑んだ瞬間。その身体が消えた。
「え」
「油断大敵、ってね」
ザシュッ！
「ぐあ……！」
あまりにも自然に、梨香は海兵の一団を斬り裂いた。その特徴的な刀を見て、1人の海兵がようやくその正体に気づく。
「よ……妖魔だ！妖魔が出たぞ！」
「ほう、俺をご存知とは。そりゃ光栄だな」
ニヤリと笑って、梨香は1度雪月花を鞘に収める。
「俺は麦わらの一味が戦闘員、妖魔トウ。まあわけあって火拳のエースの救出に来た。怪我したくなけりゃ早くどきな、そうすりゃ見逃してやるぜ？」
「ふざけたことを」
「自分から命を捨てるか、馬鹿だな」
「え」
梨香が求めた答えはYESかNO。それ以外の言葉を発した時点で、交渉は決裂している。
「居合”白虎”！」
ザンッ！
「あああッ！」
一瞬にして、梨香の周囲が血で染まる。それを気にも止めず、彼女は悠々と歩みを進めた。