変わり者姉妹、運命に抗う模様 (ページ6)

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第290話七武海、動くページ6

腰巾着状態にも似た戦況に、遂に変化が訪れる。
「行けェ！リトルオーズJr(ジュニア)！」
スリラーバークにてゾンビとして復活し麦わらの一味を苦しめたオーズの子孫、リトルオーズJrが満を持して暴れだしたのだ。海軍の軍艦を薙ぎ倒し、湾への突破口を作り出す。海軍も必死に応戦するが、その巨体になす術もなく潰されていく。
しかし。
「”虜の矢(スレイブアロー)”！」
ここで、”海賊女帝”ボア・ハンコックが動く。海賊海兵、彼らを見境なく石に変え砕いていく。さらにもはや自我なき七武海、バーソロミュー・くまの攻撃がリトルオーズJrを襲う。
「せめで……七武海1人でも……！」
その思いで力を振り絞り、ドンキホーテ・ドフラミンゴに攻撃を仕掛けるが。
ザクッ！
「面白ェ！フッフッフッフッフッ！」
回避されたばかりか、彼の片足はいっそ見事と言えるほどに美しく切断される。それでもエースに手を伸ばすリトルオーズJrを、
「”角刀影(つのトカゲ)”！」
ゲッコー・モリアの影の攻撃が、容赦なく貫いた。
一方で白ひげが巨人族の中将を1人撃破するも、海賊達が戦力を大きく削がれたことに変わりはない。
戦場の真ん中で、ドフラミンゴが狂ったように叫ぶ。
「勝者だけが、正義だ！」
彼自身の経験に基づいて導き出されたその結論を、里奈は目を閉じて静かに聞く。そして、ボソリと。
「哀しい人」
怒号に掻き消され、その言葉を聞くものはいなかった。
ほどなくして、”氷の魔女”ホワイティベイが砕氷船にて氷塊を突き進んで突破。新たな突破口が開く。
しかしセンゴクは一切動揺せず、海軍に作戦開始の指示を出す。海兵の通信を聞き取った里奈は、再度空を見上げた。空に、ポツンと黒い点。それはどんどん大きくなり、軍艦と人の形を成していく。彼女の強化された視覚は、その中に見知った黒い影を捉えた。
「……遅いよ！」
口ではそう言いながらも、里奈は満面の笑みを浮かべていた。