変わり者姉妹、運命に抗う模様 (ページ46)

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第326話姉、心配するページ46

「…………」
端的に言おう、暇だ。とてつもなく暇だ。どのくらい暇かっていうと、おそらくナマケモノの100倍は怠けられるくらい暇だ。センゴクさん達は本部へ指示を出すために別室にて電伝虫で交信中だし、私とて海楼石の手錠をかけられているので能力で暇つぶしなんてこともできない。仕方がないので、ホールの脇の方に取り残されたように置かれた本棚から本を何冊か抜き取って読んでいる。でもやっぱり退屈だぞ！
(本も軍事関係のばっかりだし、全然おもしろくない……寝ちゃおうかな)
そう思って、抜き取った本達を抱えたとき。
ガチャ
扉が開いて、サカズキが部屋に入ってきた。
「あれ、お仕事は？」
「ついさっき済んだ。おどれのことは交代で見張ることになったけえ、次はわしの番じゃァ」
「あ、なるほど」
まあ、さすがにみんな疲労も溜まってるだろうしね。交代で見張るっていうのはいい判断だな。
「それに、わしが個人的に聞きたいこともある」
「聞きたいこと？」
私、なにかやらかしたか？戦争でしたことはほとんど全部説明したような。
「妖魔と戦っていたとき、あいつが突然狂った。すぐに治ったが」
「え？」
梨香が狂った？サカズキに対して激昴することはあれど、発狂するほど梨香の精神は弱くないはずだぞ？
「それいつのことです？」
「火拳が助けられる直前」
「状況は？」
「わしが能力を使って戦っちょった」
能力。マグマグの実のことだよね──ん？そういえば。
「すみません、ちょっと能力使ってくれます？」
「？」
不思議そうに顔を歪めながら、自分の右腕をマグマに変えるサカズキ。その色を見て、なぜ梨香が発狂したのかすぐにわかった。
「ああ、トラウマを刺激されたのかも」
「トラウマ？」
「はい。詳細は省きますが、梨香をいじめてた子が着てた服の色にマグマの色が似てるんです。梨香自身は平気な顔してましたけど……なかなかひどいことをされていたので、無意識にトラウマ化してたんじゃないかと」
それにしても、梨香がそんなことになっていたなんて。このうえで作戦も失敗してしまっていたら、梨香はだいぶ精神的ダメージを負うな。絶対にここを無事に出て、梨香と合流しなきゃ。