変わり者姉妹、運命に抗う模様 (ページ45)

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第325話姉、寝癖がひどいページ45

チュンチュン……
「……ん、ああ？」
鳥の、声？それに、なんだか柔らかい手触り──私、監獄にいたはずじゃ。
ガチャ
「おはよ、リナちゃん」
「んぅ……？」
えっと、この声はクザンか？
ゆっくりと目を開けて起き上がり、声の方へ振り向く。声をかけた本人は、なぜか目を丸くしていた。軽く部屋の中を見回して、そういえば昨日からここで過ごすのを許可されたんだと思い出す。
「はい、おはようございますクザンさん」
……？どうしたんだクザン？なぜぽかんとしたまま固まっている？
「どうしましたか？」
「いや、その──髪の毛」
「え？」
髪の毛──あ、寝癖のことか。私天然パーマだから朝は頭が大変なことになってるんだよね。
「ああ、気にしなくても大丈夫ですよ」
「いやおれが気にするんだって。ちょっと待ってな」
そう言ってクザンは足早に部屋を出て行って、戻ってきたときにはヘアブラシを持っていた。それから自然な動作で私が寝ていたソファーの空いてる場所に座り、自分の膝をポンポン叩く。
「ちょっとくし通すから、ここ座ってて」
「はーい」
特に嫌でもなかったから、素直にそこに座る。クザンが、ゆっくりと髪をとかし始めた。
「うわ、どんだけ寝相悪かったらこんなに髪が絡まり合うのよ」
「髪質の問題です」
「はいはいっと。まったく、霧吹きに水でも入れて持ってくればよかった」
髪をとかしながら女子力高めのことをさらりと言うクザン。やっぱり女にモテるようにしてると、そういった情報も自然と入ってくるのか？
まあ確定なのは、真剣に私の髪をとかしているクザンがかわいいって事だよな。ああ、癒されるのう……。
「ふふ……」
「どうしたの？」
「いえ、あんまり真剣なものでつい」
「そんなにおかしい？」
「まさか。むしろ、そういったことに気を使える方ってすごいなあって思います」
「嬉しいこと言ってくれるじゃないの」
朝日が差し込む早朝。時間は、穏やかに過ぎていった。

──処刑まで、あと5日