変わり者姉妹、運命に抗う模様 (ページ34)

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第314話姉、情報収集ページ34

「え、ええと……」
オロオロしながら、しかし頭では冷静に考える。やかましいって言ってたってことは、こっちの音は聞こえてるんだよね。で、あっちからも声が聞こえるってことは音声を伝える電伝虫がある？もしかしたら情報を聞き出せるかも。
そこまで考えて、私はいったんセンゴクさんに答えた。
「す、すみません。ちょっと落ち着かなくて。あの、ここって軍艦の中ですよね？」
『…………』
えー、無視ですか？センゴクさんひどい。いや、捕虜として当然の対応なんだろうけどちょっと傷つくぞ。まあいいや、勝手に進めよう。
「もし軍艦の中なら、どこかへ向かってるんですか？それとも、一時的にここに置いてるだけなんですか？」
『…………』
「あの、私どのくらい寝てたんでしょう？戦争から何日経ちました？梨香には、手を出してないですよね？」
『…………』
ことごとく黙秘。くそう、意地でも喋らないつもりか？じゃあこっちにも考えがあるぞ！
1度ベットに戻って座り、見聞色を発動。それを適当に広げて、船の中にいる2人──おそらく雑用の、会話をしている海兵に意識を集中した。
『なあ、ほんとに大丈夫なのか？』
『大丈夫に決まってるだろ！あんな恐ろしい化け物も海楼石付けちまえばただの女！それに、大将全員に元帥まで監視してるんだぜ？生きて逃げる方が難しいって！』
なるほど、やはり足首の鎖は海楼石製か。それに三大将にセンゴクさんが監視って、少し大袈裟──いや、そうでもないか。私がマリンフォードでしたことを思い出せば。
『さらに、だ！そろそろ着くインペルダウンじゃ地獄の拷問にかけるってもっぱらの噂だ！世界政府に引き渡される頃にゃ心身ボロボロで暴れる余裕もなくなってるだろ！』
「ッ！？」
い、インペルダウン！？軍艦はそこに向かってるのか！？それに、世界政府への引き渡し？生け捕りのみって海軍の命令じゃなかったのか？
『それもそうか。いやはや戦争から4日目だけど、あの女のこと考えると震えが止まんねェよ』
あ、戦争から4日経ってるのね。つまりまる3日間寝てたってことだな。随分寝ていたものだ。
『お、そろそろ着くみたいだぞ！』
え、そんなにインペルダウン近かったの！？やばい、じゃあそろそろ逃げる準備を……いや、待てよ？そういえばあそこ、あれ(・・)が大量に。
(──ここらでいっちょ、戦力強化しますか)
逃げるのはやめだ。ちょっとだけ寄り道していくとしよう。