変わり者姉妹、運命に抗う模様 (ページ17)

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♪300話記念の番外編(前編)♪ ページ17

──今でこそ麦わらの一味として生きる姉妹。でも、もし最初にトリップしたのが海軍本部だったら？

「まず、君達の名前は？」
「里奈といいます」
「……梨香」
「うん、リナちゃんにリカちゃんね」
はじめまして皆さん。この小説の主人公の石倉里奈と申します。隣にてぶすっとしていますのは、妹の梨香にございます。……茶番はこれくらいにしておこう。
今の状況を説明すると、なぜか路地裏に倒れていた→見覚えのある制服着た人に連れていかれる→見覚えがありすぎる建物にて尋問という流れ。これ絶対あの漫画の──いやいや！そんなはずないでしょ！きっとデザインが似てるだけに決まって
バタンッ！
「保護された子供がいるというのはここじゃな！」
「ファッ！？」
「が、ガープ中将！事情を聞いておりますから勝手に入られては困ります！」
「フィッ！？」
ピンポーン！
見覚えがある制服。見覚えがありすぎる建物。ガープ。中将。これらから導き出される答えは1つしかなかった。
私達はどうやら──ONE PIECEの世界にトリップしてしまった、らしい。
(まずい、これってまずいんじゃないの？)
私達は当然この世界に戸籍をもたないから、海軍に下手に調べられたらそれこそ怪しまれてしまう。じゃあここから逃げだすか？いやいやガープさんがいるんだぞ、そう簡単に抜け出せるはずがない！
「はっはっはっ、それくらい構わんじゃろう！で、お嬢ちゃん方はどっから来たんじゃ？」
「え、あの、それは……」
い、いきなり話を振ってこないでくださいよガープさん！やばいやばい、これ俗に言うピンチってやつだ！
焦って回答を考えていると、梨香が助け舟を出してくれた。
「覚えてない」
「ん？」
「目を覚ます前のことはほとんど覚えてねェ」
「ほう、リナちゃんもそうなのか？」
「あ、ええと、そうです！」
り、梨香ナイスだ！
「それじゃあ名前を頼りに親御さんを探すしかないのう」
だめえっ！戸籍調べられたらアカーン！なな、なんとか引き止めないと！
「や、やめて！やめてください！」
「ん、どうしてじゃ？」
え、えーと！こういうときは──よし、これだ！
「わ、わからない、ですけど。でも、親って聞くだけで身体が震えて……とにかく家には帰りたくないんです！なんでもしますら、ここに置いてください！お願いします！」
そして伝家の宝刀、土下座ッ！頼む、これで堕ちてくれ！
「……よォしわかった！お前さんらは今日からわしの孫じゃ！」
よっしゃ！ガープ爺ちゃん、ゲットだぜ！