11話 ページ13
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______助けて
突如、頭の中に聞こえてきた声にハッとする。いい加減帰ってきてもおかしくないイサナの声だったからだ
彼女の携帯に仕込んでいる
思考回路が一瞬で停止した。なんで彼女が探偵社に居る
いや、それより。其処に無効化の太宰治が居たら………
顔はすっかり青ざめていた。ギル、エド、アマネを人形の姿に戻すとビルヂングを出る
この裏路地は色んなところに繋がっている。学校、公園、そして探偵社
僕の体力でもいける距離。って言うか、イサナが怖い思いしてるのに行かないとか考えらんない
「お願いだから………無事でいて………!」
君はもう、街を彷徨う野良じゃない。僕の家族だから
喫茶うずまきが見えた。此処の上が探偵社
階段を駆け上がり、ギルバートの能力を展開しながら探偵社の扉を開ける
其処にいたのは、人形に戻っているイサナ。包帯男の手に掴まれていた
ギルとアマネが殺気を出す。僕も、殺気までは行かずとも怒気は出していた
アマネ、と気付いたら呟いていた
その声に応えたアマネが16歳の身体まで戻り、素早く包帯男…太宰治の懐まで潜り込む
驚く探偵社員を尻目にイサナを奪取した。そのまま後方倒立回転飛びで戻ってくる
「いや〜大した身体能力のお嬢さんだ。君が操っているのかい?」
「黙れ。僕はこの子を取り返しにきただけだ」
睨み合いが続く。すると太宰治が急に笑い出した
何がおかしい、と睨むと返ってきた言葉は何とも言えない言葉だった
「そんなに睨まないでおくれよ。唯ね、私は気になったのさ。君が何でそんな異能を其処まで操れているのに悪事を何も働いていないのか」
______悪事を、働かない理由?
「悪事を働く事は正義なのかい?」
「君の意地が悪いね。質問を質問で返すとは」
駄目だ、これ以上は
これ以上話してしまったらどんどん太宰治のペースに巻き込まれてしまう
「取り敢えず僕はもう帰る。今日はイサナを取り返しに来ただけだから。だけど、次こんな事をしたら今度は本気で潰しにくるよ」
そう言ってエドの空間能力でビルヂングまで戻った。今思えば、まず徒歩じゃなくて最初っからエドの力使えばよかったと思った
無駄な体力を使ってしまった、と溜息を吐く
イサナは暫く休学させよう。学校には体調が悪いとでも言っておくか
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ぱなぱな - とても面白いです!更新頑張ってください! (2018年1月28日 17時) (レス) id: 5128d6820f (このIDを非表示/違反報告)
寝夢@深淵のエコロ(プロフ) - 杞憂さん» ありがとうございます!綾辻先生は前々から出す予定でした(笑)これからもお願いします! (2017年11月3日 19時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
杞憂(プロフ) - 凄く面白いです!個性ある人形たちと主人公との絡みが可愛くて大好きです!人形と聞いた時に綾辻さん来るか!?と期待していまして、本当に出てきた時は発狂ものでした!これからも頑張ってください (2017年11月3日 16時) (レス) id: bbdda47fdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:寝夢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tekitouni
作成日時:2017年8月10日 23時