幼馴染16 ページ17
太宰side
ポートマフィアに発火能力を持った者はいない。
けれど建物は鉄すら残さずに焼けた。そして敦くんとAの間に起った発火。
分かりたくない。知りたくない。そう思っても頭の中で推理してしまう。
両手いっぱいに溜めた水が隙間を埋めても零れていくように。パズルのピースが1つ1つ当てはまるように。
真実に辿り着いてしまった。
「Aは異能が目覚めた」
中也は泣きそうな顔をしてそう言った。
いつもなら同じ気持ちなんてならないし中也の事なんて理解しないけれど、きっと私はいま、中也と同じなんだろう。
とても嬉しくて悲しくて複雑な気持ち
中也が私の上から退いてもあまりの衝撃に起きる気分にならなかった。
それを悟った敦くんは私を立たせるが上手く足に力が入らない。
「二週間ほど前、ある任務があった。」
「巷で噂されていた"異能狩り"ですか?」
「嗚呼、良くわかったな。
探偵社にも依頼が来てたそうだな。終わったあと首領から聞いた。」
----------------------------------------------------------------------
「つまり、Aは視力を代償に異能を貰ったという訳かい」
話を聞いてやっと落ち着いた。未だに信じられない。
「視力を代償といってもぼやけて0.01になっただけだよ」
0.01……眼鏡がなければほとんど見えていない状態。ぼやけてて色しか見えていない。
それでも不安を見せずに笑っているA。きっと私はそこに惚れたのだろう。
「あ、あとこれ返すね。異能特務課のやつ。私たちが欲しかったものとは違うやつだから。」
Aは敦くんにそれを渡すと中也と一緒に拠点へ帰っていく。
帰る場所が同じ探偵社なら
Aの隣が中也ではなく私なら
……よかったのに
Aの姿が遠くなる度に心が締め付けられる。向けられる笑顔が中也だと思うと羨ましくて嫉妬でどうにかなりそうだ。
「太宰さん。大丈夫ですか?」
「私、明日と明後日休む」
「国木田さんに怒られるので迎えに行きますね」
122人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗亜@眠い。(プロフ) - 失礼します。只今中原中也誕生祭実施中です。よかったらご参加お願いします (2017年4月29日 15時) (レス) id: f73bf57bf2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:るいあ | 作成日時:2017年2月14日 21時