近くて遠い、その距離を。 (ページ6)

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結論から言うと、Trickstarが「DDD」を制した。準決勝のとき何故かいなかった氷鷹さんは、決勝直前に彼らのもとに現れた。一体英智さんはTrickstarになにをしたんだろうか？まあ、「見た感じ大団円」ならそれもそれでいい、と言うべきなのかどうなのか。きっとどこかで誰かが傷ついた。世の中に完全なハッピーエンドなんてないのだから。全てが全てメリーバッドエンド。なんて、そんな崇高なテーマで考えるのに私は相応しくないよね。

決勝戦が終わった現在も、観客の歓声にこたえ延々とアンコールが続いており、埒が明かないと思ったので引き上げることにした私はひとり、敷地内を彷徨っていた。差し入れを買ったはいいものの、どこに受付があるのか？そして贈ったとしてアイドルに届くのか？となると正直微妙だ。なんか危険物入ってたら……とか考えるのは当然だろう。それなら家に持ち帰って友也の家に届けて渡してもらう方がいいかもしれない？いや待て私の家に彼含む友人たちが来たことはあるけど友也の家に行ったことはなかったような……？

「詰んでるじゃん」
「おやおや、どうされました？」
「えっ」

独り言に反応されたのにただでさえビビったのに、振り返ってみればそこにいたのは。

「日、々樹さん……！？」

先程まで舞台上でパフォーマンスしていた、fineの日々樹渉さんである。いや何故。

「はい、あなたの日々樹渉です…☆」

何故。いや、あの、ファンです。けど何故。

「ふふ、驚きました？ハンカチを落とされておりましたのでね、僭越ながら届けさせていただきました！……してお嬢さん、浮かない顔ですがなにかお悩みでも？解決するにあたってこの日々樹渉がお役に立てることがあるならば、何なりとお申し付けくださいね……☆」
「あ、いえ……」

ハンカチを受け取りながら思わずそんなことを口走ってしまったがこれはチャンスでは？もしかしたら、もしかしたらだけど、日々樹さんが仁兎さんに、そして友也に届けてくれるかもしれない。いや贅沢言い過ぎか。普通無理でしょ。いや、でも言うだけ……

「実は……」