四日目 ページ6
段々とダリオの様子が大人しくなっていき、弱っていっているのが明らかに分かった。ディオは私があの薬の効力を知らないと思い込んでいる。
私にはただの兄の姿で居たいのか、やけに優しげだ。この前、薬について聞こうとしたが結局はぐらかされてしまった。
彼が弱っていく過程で私は、もうここを出る日は近いのだと自分を叱咤し、彼の容体とは反比例して読み書きが上達した。
もうすぐ春になるが、彼はこの冬を超えれるのだろうか。しかし、ディオは私にダリオと話すことすら拒んでいる。
様々なジレンマと戦いながらじっと耐えていたある日の冬。
その日は貧民街にしては温かい日であった。出かけている町の住人も普段より多く、どちらの意味でも活気が戻ったというところであった。
私の読み書きはほとんど差し支えの無い位には上達していた。恐らくこの日を見計らっておいたのだろうか。
ディオが、いつものように私を起こしにきてくれた。一段と表情が柔らかく、本当にあんな大きな野望を抱いているのか不思議に感じさせる位だった。
「おはよう、A。今日はいつもより外は温かいんだが、久しぶりに二人で出かけないか？ と言ってもいつもの酒場なんだが」
「えぇ、行くわ。けど、何をしに行くの？ 子どもだけで酒場なんてあまり行っても意味ないんじゃ……」
私の質問には答えず、行くか行かないかの返事だけを聞いて、朝食の準備をしに行ってしまった。
まぁ、行ってからのお楽しみという要素もあるだろうし、この閉塞感と病人しかいない家からも少し抜け出せるのなら、どうでもいいと思った。
「お兄ちゃんお待たせ！」
「そんなに待ってないさ。それよりその服、よく似あってる。町の奴らに見せるには勿体無いくらい可愛いよ。」
少しだけおしゃれをした私をみて、これ以上ないくらいに褒められて、少しだけ寒かった頬も真っ赤に色付き暑く感じた。
そんな事は露知らず、兄は私の手を取りスタスタと歩き始めてしまった。酒場に行くのだろうか。お酒の匂いが強くなったようだ。
「そうだ！ 今から稼げたら新しい服を買ってあげよう！」
「え、稼ぎに行くの？ お兄ちゃん、日雇いなんてやってたっけ？」
「そうか、Aとここに来るのは初めてだったか」
と不敵な笑みを浮かべて、人相の悪い顔をした兄と、若干青ざめている妹が昼間の酒場に来店しましたとさ。
ラッキーカラー
あずきいろ
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kaki氷 - めっちゃ面白いですよ！ニヤつきが隠せませんでしたね！終わってて残念ではありますが、読ませて頂き有難う御座いました！ (11月14日 17時) (
レス) @page36 id: 2e64819f3b (このIDを非表示/違反報告)
死神(プロフ) - とても面白いです！！終わっているのが本当に勿体ないです､､､続きを､､､､！どうか続きをお願いします！！ (2021年10月20日 1時) (レス) @page36 id: e8c18d6184 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 更新が終わってるのが勿体無いです…続きが気になります! (2020年11月14日 9時) (レス) id: 990f265493 (このIDを非表示/違反報告)
メイム(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ (2019年6月29日 13時) (レス) id: 89648f6823 (このIDを非表示/違反報告)
瑠射 - コーヒー牛乳さん» ありがとうございます！ 無理のない範囲で更新したいと思います！ (2019年2月3日 20時) (レス) id: 62553ed4b0 (このIDを非表示/違反報告)
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