ラストリゾートΣ ページ22
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思わぬ人物達からの登場と、掛けられた声援の言葉に返していられる時間は日本に残されていない。しかしそんな中でも野坂は、ふっ…と余裕の笑みを口元に浮かべた。
｢あんな風に応援されたら、その期待に応えるのが礼儀というものだよね。……一星くん、君の左足に賭けよう！｣
｢はい！｣
野坂、一星の後に続いて両手をAたちに向かって振る明日人に｢ぼさっとしてんじゃねえ｣と放ち、灰崎が背中を押す。巨大な敵に立ち向かおうとしているというのに、彼らの顔は絶望に染まっていなかった。
｢A達の想いに応えるためにも、絶対にゴールは割らせない！俺達がラストリゾートを完成させるんだ!!｣
互いに背を向けた四人が、右足で力強く地面を踏み込むと、頭上中央にエネルギーが発生。そこから野坂が入り、二番手が一星に代わる。飛び上がる明日人に続いて、灰崎が左足で最後のキックに加わった。
『ラストリゾート
単独の進化形ドラゴンに対して、総和で勝負というわかりやすい構図だ。日本が完全にシュートを打ち返す。
二倍の威力を持ったボールは発光し、岩の龍が崩れたあと、青・黄・緑・桃、四頭のエナジーのドラゴンの群れとなって、イタリア代表を宙にまきあげる。
「一星の左足を加えただけでなく、稲森と灰崎のツインシュートによって、より強力なインパクトが生まれた。ラストリゾートを超える、ラストリゾートΣか」
今までのどんな技よりも迫力のある必殺技に豪炎寺は満悦な表情で解説する。軌道を描きながら、ボールはゴールに向かっていく。
｢なんだ、これは……ッ｣
ペトロニオは目の前のできごとが信じられないで呆然と佇んでいた。だがラケリトがゴール前で倒れている以上、防ぎきれる可能性を秘めているのはペトロニオただ一人だ。
｢くっ…あああぁ!!｣
もう一度ボールに蹴りを放つが、弾け飛んだサポーターは使い物にはならず体のバランスを崩してしまう。
無慈悲にもシュートはペトロニオ諸共ゴールネットに突き刺さり、ついに日本が一点を追い上げた。
＜ゴール！！日本、追加点を上げました！＞
得点は二対三で未だイタリアがリード。しかし、フィールドは死屍累々としていた。体力を使い果たした彼らは、地面に伏したまま動く気配はない。
『……っ』
ウラジミールは悔しそうに歯噛みをするが、致し方ない……と判断し、首を横に振ると棄権を申し出る。
(この試合、イタリア代表は棄権します！)
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年10月15日 21時
