明星に込めた想いを42【オリオンの刻印】 (ページ12)

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牽制ページ12

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円堂のゴールキックから放たれたボールの先には、最前線を走る豪炎寺の姿。彼が放ったのは十八番の「ファイアトルネード」だ。星章対木戸川清修戦にも見せた、彼なりの牽制といったとろだろう。

｢トリケラ・シールド！｣

目の前にトリケラトプスのエネルギーを具現化させ、それによって相手のシュートを防ぐキーパー技で対抗するラケリト。両手でボールを食い止めようと試みるが、じりじりと後退させられていく。

｢すげぇ！怪我の前よりシュートの威力がパワーアップしてるぜ！｣

ラケリトが必死に耐える中、小僧丸はさらに威力のあがった豪炎寺のシュートに興奮し、その一方でウラジミールはサポーターの出力をあげようとしていた。

『これ以上、日本に点を入れさせるわけにはいかない！』

『おい、また出力を最大にしやがるのか？やめろ！』

ウラジミールは操作していたデバイスを奪われかけるが、それを振り払い｢お前らがどうなろうと知ったことか｣と吐き捨てる。この試合で、日本を徹底的に潰せという命をイリーナから降されたのだろう。

そうしている間にも、ラケリトのサポーターの出力は上がっていく。足が白線を超えぬように踏ん張るに連れて、体に負担がかかる。

｢もういい！その力を使うな、ラケリト!!｣

ペトロニオの必死の制止もむなしく、ラケリトはファイアトルネードの威力を殺しきって、その場に蹲るように倒れてしまう。明日人に続き、豪炎寺がイタリアのキーパーを物理的に伸してしまう形となった。

｢大丈夫か、ラケリト｣

｢あぁ…まだまだ行けるぜ｣

イタリア選手がラケリトの周りに集まる。ガブリエラと違い、問答無用の退場にはならずに済んだようで元気な姿を見せている。とはいえ、一旦治療を受けるために、駆けつけた救護班と共にフィールドを離れた。

｢マッテオ！｣

｢なあ、ペトロニオ。俺たちどうなっちまうんだ？｣

控えキーパーのみならず、前線マッテオも、サポーターによる苦痛は明らかだ。ピエトロが不安そうにペトロニオに訴える。こればかりはさすがのペトロニオも、体に限界を感じていた。膝が笑っている。

＿＿その頃、日本は

｢このままあのサポーターを使い続ければ、ヤツらはサッカー選手として再起不能。いや、もっと深刻なダメージを負ってしまうかもしれない」

豪炎寺がやたら冷静にイタリアの身を案じる。実際、スポーツ障害は決して甘く見ていいものではない。このままでは最悪の事態を招きかねないだろう。