不本意 ページ1
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FFI準々決勝、日本対ブラジルは未だ同点のまま膠着状態となっていた。しかし、ブラジルチームの心が一つになったことで、試合の風向きが変わり始める。再び試合に挑まんとしたブラジル選手の姿勢を見せたタイミングで、趙金雲が選手交代を宣言。
｢頼みます、円堂さん｣
｢任せろ｣
片手を負傷した西蔭に代わって、円堂がピッチに降り立つ。キャプテンマークは必然的に、野坂から円堂へ移動。唯一チームの中で西蔭の手を懸念していたAは、監督の取った対応に胸を撫で下ろす。
｢よし、行くぞ！｣
マセロのゴールキックから試合はリスタートを迎える。そして一方のか実況解説席。実況者に話を振られた角馬はしばらく答えずにいたが、急に大声をあげて自らが実況を始める。
【さっそくブラジルが切り込んでいくー！日本、水神矢を中心に組み立てたDF陣が迎え撃つ！】
ブラジル側は生き生きとボールを全身を使って巧みに操る。心做しか彼らの表情には笑顔が戻ったように見える。水神矢が「ほう、変わったか……」と言った途端に、抜かれてしまう。
｢水神矢、何抜かれてる!?ボサッとしてんじゃねぇ!!｣
灰崎が呼び捨てで怒鳴りながら水神矢を追い抜いて行くと、水神矢は不本意そうに立ち止まって「先輩ってことを忘れてるよな……」結局彼が思案したあだ名ではなく、呼び捨てに固定されたようだ。
｢日暮さん、波状攻撃を仕掛けるよ｣
｢基山くんは右、私は左!!｣
顔を見合わせ、相槌を打つと二人は同時に地面を蹴って左右に散開。波状攻撃を仕掛け、攻め上がるミゲルを食い止めようと試みる。
｢それで止めに来たつもりかよ、甘い甘い！｣
｢そんな…!?｣
｢ダメだ、早すぎて反応ができない！｣
ミゲルがDFに回った基山とAを難なく抜いて、ゴール前へ駒を進める。追う灰崎と風丸がゴールとの間に立ちふさがろうとするが、ミゲルはそこで超絶バックパスでアルトゥールにボール渡す。
｢しまった！｣
なまじミゲルに追いついていた灰崎と風丸は、ミゲルから食らったフェイントにすぐ様反応できない。ゴール前はぽっかりと穴が空くように道が切り開かれ、一対一に持ち運ばれてしまった日本。
｢ゴールはいただく！｣
アルトゥールは、ボールを踵で連続に浮かしつつ、 最後はアクロバティックに飛び上がりシュートを繰り出す必殺技「カーニバルシェイク」を打ち放つ。
蹴り込むたびにカラフルな紙吹雪が舞い散り、激しいジグザグ軌道を描いて日本ゴールへと突き進む。
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年9月18日 14時
