エラシコ ページ6
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へリカルドを前後で挟み、精神的にも状況てきにも優位に立ったかと思われた日本。しかしその慢心が仇となってしまっまのか、見事に敵からの意表をつかれてしまう。不意打ちをくらったヒロトは敵からの股抜きを許し、相手のパスを繋がせてしまった。
｢ヒロト、あんたまで何簡単に抜かれてんのよ！｣
まんまと敵のフェイントにハメられ、出し抜かれたヒロトに対しAから厳しい言葉が浴びせられる。しかし、ヒロトはそれで怯むような男ではない。
｢あぁ？お前がトロくせーから抜かれたんだろ！｣
どこまでも強情で、自分の非を認めないヒロト。挙句の果てには失敗を棚に上げて人のせいにするのだからタチが悪い。
｢なっ……私のせいだっての！？｣
｢お前のせい以外の何があるんだよ、このブス！！｣
｢なんですって〜〜ッ!?｣
Aが声を荒らげるようにして反論すれば、二人は試合中にも関わらず指先を突きつけあうようにしながら、いがみ合い始める。
｢何をしてるんだ、二人とも！｣
｢今が試合中だということを忘れるな｣
それを見兼ねた明日人、氷浦が駆けつけ、火花散るAとヒロトの間に割り込むと、仲裁に入った。目を尖らせて睨み合った二人は、暫くすると鼻を鳴らして互いに左右に分かれて違う道へと走っていく。
「ったく、あの二人は……。あの調子で連携技完成なんて本当にできるのか？」
「さ、さあ…」
片手で頭を掻き、やれやれと首を振る氷浦。チームのムードも良くない方向へと進んでいるのが分かり、明日人が顔を顰めていると｢そういうことか｣突然何かを理解したような口調で呟いた小僧丸の声が聞こえた。
｢小僧丸！｣
｢来るな明日人。アイツらは俺たちに一対一の勝負を挑んでるんだ！｣
そう言って小僧丸は、その意味が分からずに「一対一？」と呟く明日人を置いて一人、リフティングで挑発を行ってくるルシアンへと単身突撃をはかる。
｢俺に勝負を挑んだこと、後悔させてやる！」
スイッチ、オン！その掛け声と共にガスコンロが点火するような演出を再現。青いオーラを放ち、髪を逆立てた小僧丸は相手選手めがけて突っ走る。
しかしブラジルは高度なフェイント技「エラシコ」という動きであっさりと小僧丸をかわしていく。
「なっ…！」
かなりコードな動きを要求されるフェイントだが、身体能力に優れたブラジル選手が使えても不思議でない。だが、DFが繰り出してくるとは小僧丸自身も、想像をしていなかったのだろう。
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年9月6日 5時
