アツい奴らが来た ページ1
❀
＿＿FFI準々決勝。両国の選手達が入場し、間もなく始まる試合に向けての挨拶が終わると、会場内は凄まじい熱気に包まれる。
大空を舞う雲雀は、まるで彼らの戦いを祝福するかのように飛び回り、玉の簾を渉るような声で囀っていた。
｢ブラジル代表のプレイ、やばかったよな｣
氷浦、小僧丸と共に軽いストレッチを行いながら、明日人が相手選手を盗み見て呟く。
先日のイギリス戦を大量得点、無失点という記録を叩き出したブラジル。華麗なテクニックを前に、イギリスは手も足も出なかった。
｢あれだけ高いレベルのサッカーをする上に、全員がオリオンの使徒か｣
先行きに不安を感じる中で、氷浦は自分の目の前には大きな障害物がまっ暗に立ちふさがっているのを感じた。
｢汚い方のレベルも高そうだがな｣そう云い終わると小僧丸は、如何にも憎々しい、皮肉を極めた冷笑を浮かべ、傲然たる態度で腕を組む。
｢何を仕掛けてくるか、警戒だけは怠らないようにしよう｣
氷浦のその言葉を聞き、顔を見合わせた明日人と小僧丸は二秒ほど置いてから同意を示す相槌を打つ。周囲には見えない垣根を張り巡らした＿＿その時。
｢オーレ！ブラジル！｣
『オーレ！サンバ！』
突然、どこからともなく勇ましい掛け声がさまざまに響き渡るも、笛の音が飄々と流れ始める。サッカーに用いられるホイッスルとはまた違った音色は、軽快なリズムに合わせて吹かれ続けていた。
『オーレ、ブラジル！オーレ、サンバ！』
そこにスタンバイしていた太鼓の音が殷々と轟くように加わると、ブラジル選手達は全身を使って軽快なステップを踏んで、次々に踊り始める。
これまで見たこともない光景が眼前に展開され、日本代表の面々は、はっ。驚くほど立ちすくむと、暫くの間、息を呑んだまま呆気にとられていた。
｢なんだアイツら、ふざけてやがんのか？｣
｢随分と陽気ね…｣
けたたましく鳴り響く笛と太鼓の音。まさにお祭り騒ぎなこの状況を、やや迷惑そうに顔を顰める灰崎の隣で、Aは呆れたように呟いた。
｢ほーら、アミーゴ！｣
するとそこへ、紅葉のような髪色が特徴の少年(ブラジル代表キャプテン、アルトゥール)が、ぼーっと突っ立っている明日人の元へ歩み寄り、声をかける。
｢ガモーラ、アミーゴ！｣
全員がオリオンの使徒であり、ベルナルド直属の精鋭達だと聞かされていた日本。警戒する面々だったが、ブラジルの選手達はサンバのダンスで、そんな彼らを心地よく歓迎した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小雪
| 作成日時：2019年9月6日 5時
