星を超えた想いを36【オリオンの刻印】 (ページ12)

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レッドカードページ12

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イレブンバンドに搭載されたスタンガンにより負傷した野坂ではあったが、大事には至らなかった。操られているとは言え、彼の本性を知っている者達にとっては辛い現実をつきつけられている。

「ったく、どいつもこいつもだらしねぇ！」

「言ってくれるじゃねえか」

切り込んでくるアースに手も足も出ない仲間達に、一喝した小僧丸し自身のラインを下げて積極的にボールを奪いに向かうと、その隣を走っていた同じFWであるアツヤが横槍を入れる。

「お前ならこの状況をなんとかできるって言うのかよ！？」

「ああ、やってやるよ！」

切羽詰まった声と噛み付くような口調で投げかけたアツヤの姿を後ろ目に一瞥した小僧丸は、鼻を鳴らすとその言葉に応えるべく、スピードを上げた。

咆哮を響かせながら、前方から迫るアースに突進する勢いで猛進する。激しくぶつかり合う両者。ボールを互いの足に挟んだ状態で攻防を繰り広げていた。

「小僧丸くん、いったい何をするつもりなの」

何か策があると言い張った小僧丸の熾烈な姿に嫌な予感が頭を過ぎるAは、ただそれを祈るように手を組んで見守ることしかできない。

そして二人の間で挟まっていたボールは、弾かれるように上空へ。それを読んでいたかのように、小僧丸は時計回りに回転し、ボールを追って宙に浮く。

そして空中から角度をつけ…

「くらい…やがれッ!!」

真下にいるアースへ体を貫通しそうな勢いで、ファイアトルネードを脳天へとぶち込んだ。

「ひ…っ！」

声にならない声を上げて背中をフィールドに打ち付けるアースに、Aも声すら上げられず、目を見開き、口を両手で覆うことしかできなかった。

「フィールド上では弱肉強食だ。油断してたら食われちまうぜ」

転がっていくボールを横目で追いながらも、既に意識のないアースに向かって、助言ともとれる言葉を吐き捨てた小僧丸は腰に手を当て見下ろした。

＜これは…ひどい。小僧丸の度を越したラフプレーに、スタジアムが静まり返っています＞

長年実況を担当している者ですら、目に余る光景に狼狽の色を隠せない。

そしてホイッスルが響き渡ると、こぼれ玉のボールを拾った審判が小僧丸の元へ歩み寄る。

＜レッドカードだ！アースへのラフプレーにより、レッドカードが出されました！小僧丸退場です！＞

訝しげな表情のまま小僧丸を見下ろした審判は、胸ポケットから出したレッドカードを無慈悲にも、活躍してきた彼の前に突きつけたのだった＿＿。