スタンガン ページ11
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" 野坂と一星を潰 せ"
会場にいるベルナルドから直接選手へと出された指示に、工作したバンドで様々な罠を仕掛けては一星を陥れようとしたが、失敗に終わる。それならばと、ロシアは次に孤立した野坂を
囲まれれば、いくら優れた才能を持つ野坂と言えど、迂闊には動けない。その間をくぐり抜けるようにアースが雄叫びを上げながら迫る。
ボールをつま先で蹴り上げ、避けることには成功したものの、野坂は無防備にも背中を向けてしまう。
その隙を狙ったアースが、強力な電気を放ち青い稲妻を纏うイレブンバンドを野坂の腰に押し当てた。
「野坂さん!!」
「野坂くん!!」
空気が張り裂けるような悲鳴を上げる野坂に、一星とAの声が重なった。電撃をまともに食らってしまった野坂は、膝から崩れ落ちるようにフィールドに倒れてしまう。
「嘘、だろ」
「明日人が……誰よりもサッカーを愛してる明日人が、あんな卑怯な真似を」
衝撃の光景を目の当たりにした万作と氷浦は驚愕するあまり、取り返しのつかない絶望に陥ったような蒼ざめた顔で、アースを見つめていた。
「いい加減にして！！」
「…っ」
我慢の限界だと、叫んだ後に歯を食いしばったAはユーリの肩を掴んで後ろへ突き飛ばした。
突然の衝撃に反応ができなかったユーリは人形のように抵抗することなく尻もちをついてしまう。糸の切れた傀儡のような姿に、一瞬動くことを躊躇ったAだが、心を鬼にして野坂の元へと駆け寄った。
「野坂くん…！」
「…っ」
「しっかりして、私の声が聞こえる？」
「あ、あぁ…ちゃんと聞こえてる、大丈夫だよ」
蹲る野坂の前で両膝をついたAが、背中を擦りながら顔色を窺うように問いかけると、彼は苦しそうな表情を拭えないままゆっくりと立ち上がる。
「頭とか打ってない？脳の痛みは？平気？」
「なんともないよ」
「本当に？」
不安でたまらないと言った顔で何度も執拗く訊ねるAに、野坂は口元に拳を当てると、緊迫とした空気に似合わない笑いを零してしまう。
「ど、どうして笑うのよ」
「君に心配してもらえるのが嬉しいから、かな」
「ばっ…！バカじゃないの、こんな時に」
至極真面目な顔で告げた彼に目を瞬かせたAであったが、すぐに「はぁ…」と呆れた溜息を吐くと、白けた眼差しを向けて「心配して損した」最後にそう言い残して、野坂を置いて駆け出して行った。
(こんな時だから、なんだけど)
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年7月16日 12時
