星を超えた想いを32【オリオンの刻印】 (ページ49)

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姑息ページ49

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アフロディの活躍により、無差別に選手達を襲ったアメリカの必殺タクティクスの正体が寄せ集めた風による小さな竜巻だったということがフィールド上を通し、会場全体に知れ渡る。

「でもどうやって気づいたんですか？」

光が野坂に顔を向けて訊ねた。

「坂野上くんがやられた時、体が地面につく前に爆発が起きていた」

本物の地雷ならば地に触れてから爆発するはず。足が宙に浮いたまま爆発する地雷など存在しない。そこに目を付けたのだと野坂は答える。

「そうだったんですね…」

その名の地雷原という名前に縛られたが故に、彼らは地中にばかり気を取られていた。しかし、本当の戦場はもっと立体的に組み上げられており、難解に考える必要など何一つなかったのだ。

光が納得をしたところでアフロディは笑みを崩すと目を鋭く尖らせ、その視線を敵へと突き刺す。

「どんな姑息な手段にも僕達は決して負けやしない」

つま先でボールを蹴り上げるとアフロディは竜巻に向かってシュートを放つ。回り続けていた渦はボールが当てられたことにより消し飛んでいく。

そしてピンポン玉のように弾かれると、フィールド上に蔓延る竜巻を次々た消し去っていった。

あれほど苦しめていた竜巻が除去されていくのを見る様は実に爽快だ。ベンチからその様子を見守っていた控えの者達は立ち上がり、歓喜していた。

「竜巻はあと三つ！」

そぞろに爽快な戦慄を禁じることができないつくしがひとたび声を上げれば、それにつられるように杏奈とAは消されていく竜巻と共にカウントダウンを取り始める。

「二…！」

「一…！」

『ゼロ！』

最後は気持ちよく三人で声を揃えれば、つくしは感極まって隣にいた杏奈に飛びついた。離れた位置にいたAもまた豪炎寺とハイタッチを交わし合う。

全ての竜巻がフィールドから姿を消した。タクティクスを打ち破られたことにより、少なからず動揺を見せたアメリカを明日人が次々と抜いていく。

「アフロディさん！」

そしてボールはゴール前で翼を背に、華麗に上空を飛び上がったアフロディへと繋がれた。

「ゴッドノウズインパクト！」

「軍事衛星フォボス！」

両者の激しい接戦が繰り広げられる。

その最中。ボールは威力が衰えるどころか時間が経つにつれて増幅したエネルギーが、ビッグマンの掌に集中する。感じたことの無いほどに凄まじい力が、その熱が解き放たれた刹那。

眩い光に包まれたボールがゴールに突き刺さった。