爆音 ページ43
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腹の底から一気に喉もとへ突き上げてくるこの世のものとは思えない叫び声が爆音と共に響き渡る。
爆発が起こった影響で煙幕と共に砂埃が巻き上がり、その中から弾き飛ばされた不動は背中を打ち付け、身体をフィールドに叩きつけられてしまう。
目の前で起きた惨事に、観客席は静まり返っていた。どよめきの声すらも上げられず、ただただフィールドに倒れ伏す不動を凝視していた。
『必殺タクティクス、地雷原』
声を揃えて確かに「地雷」と言ったネイビーインベーダーの選手達。センターラインからアメリカのゴールまで地雷原と化したフィールド。一歩でも足を踏み入れれば無事ではすまないだろう。
「なんてことするの……」
「これが、スターユニコーンを倒した技の正体」
口元を両手で覆い、見ていられないと目を伏せるAの隣で豪炎寺はやるせない気持ちに見悶えていた。ついに本性を現したオリオンの使徒。戦場でも用いられるとされる地雷に緊張が走る。
「不動くん、大丈夫ですよね」
監督から要請され、すぐさま駆けつけた救護班の者達の背中を見送りながらAは析谷に訊ねた。一方の析谷はそんな彼女の姿を一瞥してから気難しそうに喉を鳴らし、眉を寄せては唇を重々しく開く。
「傷の具合を見ない限りはなんとも……。だけど、彼らは地雷と言っていた。その言葉が本当だとしたら、いくら殺傷能力の低い地雷物だったとしても踏んでしまえば軽傷では済まされない」
「そんな…！」
彼女の問いに、析谷は辛辣な言葉を放ってしまうがどれも事実に変わりなかった。
命すらも落としかねない恐ろしい爆発物が至る所に散りばめられているなど誰が想像しただろうか。
「不動くん！」
「じっとしてなきゃダメだぞ、明王」
担架で運び出された不動がフィールドから退場し、ベンチの前へと下ろされる。名を叫んだAが慌てて駆け寄ると析谷達もそれに続き、マネージャーも救急箱を片手に寝そべる不動の前へ膝をついた。
「傷の具合はどうなんですか？」
痛みに顔を歪め、呻く不動の手や体の傷具合を調べていく析谷に杏奈がおずおずと訊ねれば、不動の腕をゆっくり下ろした析谷が顎に手を当て口を開く。
「ただの打ち身や擦り傷ばかりだ。地面に叩きつけられ、転がった時にできたものだね」
それ以外の激しい損傷は見られなかった。そして、妙な傷のつき方に違和感を覚えた析谷の眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。
(気をつけて、みんな……っ)
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年5月15日 0時
