星を超えた想いを32【オリオンの刻印】 (ページ31)

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第56話:モーニングページ31

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＿＿FFI日本対アメリカ戦当日の朝。

夕方から夜にかけて激しく雨は朝になると嘘のように止んでいた。雨戸がすっかり繰られて、まだ明けきらない朝の青い光とすがすがしい空気が、霧のように部屋の中に流れこむ。

「ん……」

規則正しい寝息をたてて眠る少女の枕元に置いていたスマホからイナリンクの通知音が鳴り響くと、閉ざされていた瞼が重々しく開かれる。

「だからー……こんな朝早くにいったい誰よ」

元々寝起きの悪い彼女は予定よりも早く睡眠を妨げられたことによりひどく機嫌を損ねていた。目を擦り、スマホを手繰り寄せると画面を睨みつける。

ベルナルドおはよう、A

「ベルナル、ド……さん」

送り主はベルナルドであった。最初こそ、彼の目的を疑ったものの今はこうして毎朝連絡をくれる。

Aおはようございます

その度に体調を気にかけてくれて、ミサンガの有力な情報や手がかりなどもその都度詳しく説明してくれる彼にAは少なからず警戒心を解いていた。

ベルナルド確か今日は日本対アメリカの試合が始まるんだったな

片手で文字を打ち、送信ボタンを押すとすぐに既読がついて数秒後に送り返されてきた。

ベルナルドアメリカの代表選手は全員が総入れ替えをしたと聞く。気をつけるんだよ

目を通したAはそのメッセージを見て訝しげに眉を顰める。日本代表内でしか知り得ない情報のはずだ。誰も外部に公言はしていないはず。

「あ、でも。監督の知り合いだったら伝えられてるかもしれないし知ってて不思議はない、のかも」

なんて単純なことを考えて、深くカン探りもしなかったAは休めていた手を再び動かした。

ベルナルド直接Aの試合を見に行くことができないのは残念だが、応援している

「あ……」

無意識に零れた声。でも、選ばれないと思いま…そこまで打ちかけるとAは静かに首を振ってバックボタンを押し文字を打ち消す。

Aはい、頑張ります。ベルナルドさんもお仕事頑張ってくださいね

新たに打ったメッセージを送信すると

同時に朝を知らせる小鳥の囀りが

眩しい朝日と共に聞こえてくる。

「そういえばベルナルドさんって、どこで働いてるんだろう」

スマホを置いてベッドから立ち上がると

そんな疑問が頭に浮かんだAは

人差し指を唇に当てる。

(今度聞いてみようかな)