星を超えた想いを32【オリオンの刻印】 (ページ18)

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神からのお誘いページ18

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「さっきの話は冗談だからね」

「え、冗談？」

ああ、そうだよ。屈託のない目を細め笑顔で肯定したアフロディに、面を食らったAは口を開けたまま顔が空間に凍りついたように固まった。

「ヒロトくんのやる気を出させるためのね」

「さっきまでの無駄な時間なんだったんだよ……」

手の甲で目を覆い天を仰ぐヒロトに「本当にそう思うかい？」と曖昧な言葉で多義的に伝えたアフロディは含みのある笑みを見せる。

「お互い素直になって改めて気持ちを確かめ合えたわけだから、それを一括りに無駄と纏めるのは少し違うと僕は思うけど？」

理屈の通った見解に二人は無言で視線を合わせる。以前よりも連携技に対する思いが強まったこたを自覚していたのだから納得せざるを得ない。

「結果オーライ、とでも言っておこうか」

「勝利した神はいいご身分だな」

全てが彼の思惑通りに動き、手のひらで遊ばれていることに腹の虫がおさまらなかったヒロトは鬱憤晴らしにフィールドを蹴りつける。

「落胆することはないさ。オリンポスに神はたくさんいる。勝利する神もいれば、敗北する神もね。君はたまたま後者だったってことだよ」

一見綺麗に纏めて正しい事を言ったように聞こえるアフロディ。しかしそこには彼なりの皮肉が込められており、ヒロトは遠回しに見下されていた。

「(それ何の説得にもなってない気が……)」

Aですらも苦笑を隠しきれない。

「約束どおり僕の言うことを聞いてもらおうか」

「ああ、なんでも言えよ」

話を終わらせてとっととシャワーを浴びたい。汗だくになった体をユニフォームの胸元を掴んで仰ぎながら右から左へ聞き流していると次の瞬間。

アフロディは予想の斜め上を行く頼み事をした。

「ヒロトくん、一緒に遊園地に付き合ってほしい」

まるで沈黙が凍りついたようだった。
彼の口から出た「遊園地」というワード。
その言葉と意味が、脳にある言語中枢に
追いつくには両者僅かな時間を有した。

「はぁ！？どういう流れだよ！」

Aよりも先に我に返ったヒロトが
体を翻し文句を吐き散らすが
アフロディは構わず岩戸を呼び出した。

「それからゴーレムくん」

「ゴス？」

「君もね」

自身を指し、頭の中で疑問符が

乱舞させていた岩戸。

「ゴス？……ゴ…ス」

やがてその意味を理解し始めたのか

徐々に血色のいい顔色を蒼白とさせていく。

数秒後、度肝を抜かれた三人の叫び声が

日本代表キャンプ全体に響き渡った。