星を超えた想いを32【オリオンの刻印】 (ページ14)

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敗北から学ぶページ14

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アフロディの勇敢な姿はベンチで観戦していた選手たちにまで影響をもたらしていた。瞬時の判断と頭の切り替えの速さ、そして諦めないその精神はジャパンの中でも随一を誇るかもしれない。

「先輩、アフロディさんは以前戦った時もあんなに熱いプレーを見せる選手だったんですか？」

「ううん、その逆。正反対よ」

顔を左に向け、一年前からアフロディのことを知るAに当時の彼についての質問をぶつけた光ではあったが、その頭は重々しく横に振られた。

「どちらかというと余裕のあるプレーで相手の心を掻き乱す戦い方が目立っていたんだけど……。あんな熱いアフロディさんは見たことがない」

彼女ですらもこの反応だ。かつて決勝戦で雷門を苦しめたチームのキャプテンとは思えないプレースタイルにAは当惑の眉をひそめで顎に手を添えた。

「勝つために泥臭く走り回るあのプレー……まるで剛陣先輩だ」

アフロディの戦い方に、どこか既視感があった万作が波に乗るような自然な流れで何気なく比喩すれば、遠く離れた剛陣の耳が欹つ。

「え、俺！？」

そして砂埃を巻き起こして白線ギリギリにまでやってくると自分を指しながら聞き返した。

「地獄耳…」顔を横に向けて

ボソリと呟いたAの声は

聞こえないのだから都合のいい耳である。

「まさかアフロディのやつ、俺に憧れてプレースタイルを変えたのか！」

はっ…として何を言い出すのかと思えば

そんな言葉を口走った剛陣。

『ないないない』

思い込みの激しい彼に皆は

顔を背けると、声を揃えて否定した。

「ムカつく野郎だが、いい根性してんじゃねぇか」

皮肉な言動が目立ち、いけ好かないことに変わりはないが、彼のサッカーに対する熱い気持ちが心に染みるように伝わった剛陣は見直したように呟く。

「(これが今の僕のサッカーさ！)」

二年続けて雷門に敗れた世宇子は自分たちに足りないものをはっきりと理解した。空から人を見下ろす神ではなく、日本の足で地面をしっかりと踏みしめ、泥臭く最後まで戦い抜くサッカーを目指す。

各々が欠点を見つけ、個性を活かして

新たに生まれ変わろうとする

世宇子とそれを引っ張るアフロディ。

「(失敗から得る経験もある。それは神も人間も同じことだ。敗北は、次なる勝利への布石に繋がるということを僕は学んだんだ…！)」

涙ぐましい努力と強い思いもあって

あの日アフロディは鬼道から日本代表の

チームへ加入を直接受けたのだ。