お告げ ページ10
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何気なく放ったAな言葉に暫く放心していたヒロトであったがすぐに顔を勢いよく左右に振るとぽ〜っとした眼差しでアフロディに見惚れている(ように見える)Aの肩を掴んで前後に揺らしていた。
「神は俺だからな！」
必死な形相で、そう訴えかけてくる。
容赦なく体を前後されていたため
頭が揺れて目を回していたAは
反射的に握り拳を彼の頭に振り下ろす。
「さて、日本代表に合流するにあたってみんなに一言いいかな？」
ひと段落がつきタイミングを見計らった
アフロディは気を取り直すように
軽く咳払いをすると話を切り出す。
「一言？」
ひと仕事を終えたように手を叩くAの足元には頭にタンコブを作ったヒロトが撃沈し、その傍らには同情の眼差しを向けるタツヤが屈んでいた。
「正直に言わせてもらおう。今のままの君たちではこの先到底勝ち進めないよ」
近視眼のようにするどく細められた赤い瞳。アフロディのその一言で、辺りは一瞬にして凍りつく。
「ほう？それは神からのお告げってやつかよ」
挑発とも取れるその言動に気分を害したアツヤは額に青筋を浮き立たせたまま、そう訪ねかける。緊迫とした空気の中では不釣り合いな涼しい顔でアフロディは「神としての言葉ではない」ことを告げた。
「ただ見たままの事実を伝えただけさ。豪炎寺君が怪我をしてる今、このチームのFWは君達四人だね」
人の神経を逆撫でるような癇に障る言い回しで話しながら、FW組の元へと歩き出す。
「僕は日本代表に加わるにあたって、FWにポジションチェンジすることになったんだ」
そして向かい合うような形で立ち止まるとくびれた腰に手を当て、静かに瞼を閉じる。かすかな冷笑に似た奇妙な笑みがアフロディの唇の端に浮かんだ。
「元々MFだった僕にFWとしての攻撃力が求められている。その意味が分かるかい？」
「俺たちじゃ力不足とでも言いたいのかよ」
拳を固く握り締めて指の肉に爪を
立てながらアツヤは怒りに声が震える。
「理解が早くて助かるよ。そう、このチームの弱点は君たちFWにあるのさ！」
「そ、そんな笑顔で言われても」
くるりと体を翻して微笑むアフロディに
Aは手を上下に振りつつ苦笑した。
顔で微笑んで膝であざ笑うとは
まさにこのことを指すのだろう。
(おもしれえ)
(俺たちに喧嘩売ったからには)
(口だけで済むと思っちゃいないだろうな)
(あんたたち何本気になってんのよ……)
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年5月15日 0時
