星を超えた想いを29【オリオンの刻印】 (ページ34)

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素直じゃないページ34

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豪炎寺がAと半田の仲裁に入ったことにより事はおさまったが、何も問題が解決した訳では無い。相も変わらず部室前では選手達が深い溜息をついてどんよりとした重苦しい雰囲気を放っている。

「情けないな、ここに来て怖気付いたか？」

そんな部員達に向かって鬼道が腕組んだまま言い放つ。風に揺られる青いマントがはためく度にゴーグル越しに鬼道の瞳が輝きを見せる。

「俺達はどんな困難も乗り越えてきた。これからも乗り越えていく。それが俺達雷門じゃないのか？」

そんな鬼道に続くように豪炎寺が反省をしないAの制服の襟を掴んだまま隣に並び立ち、仲間たちの顔を一人一人見回しながら厳しい語調で云う。

「それに…お前達も知っての通り、こいつは言葉足らずなところがあって誤解を受けやすい」

イタズラした子猫を叱り付けるような

豪炎寺の扱いとじとっとした横目を動かして

不服そうに知らんぷりを決め込むA。

「だがAが、なんの迷いもなく承諾書にサインをしたのはお前たちを信用しているからこそなんだ。それだけは分かってやってくれ」

話している最中でもAの頭に手を乗せて、豪炎寺はそのままリズムよく軽く叩いていた。その度に彼女は不満そうに頬を膨らませて目を窄めている。

「ちょっと修くん！勝手に人の事を言い風に言わないでよね、そんなんじゃないんだから」

「これもただの痩せ我慢だ、気にするな」

「だからそんなんじゃないってば！！」

横に顔を振り向かせて、叩いていた豪炎寺の手を掴みあげたAが子供扱いをする幼馴染みを睨みあげるも効果は薄く簡単に掴んでいた手を振りほどかれてしまう。

「日暮、お前……」

ぽかんと間抜けにも口を開けた半田が

目をひん剥くような勢いでAを凝視している。

「な、なんですか」

一方のAは豪炎寺から顔を逸らし

罰が悪そうな顔をすると腰に両手を

当てていつもどおり気丈に振る舞う。

「めちゃくちゃいいやつだな！！」

「はあ！？……ちょっ」

無邪気な笑顔と無垢な瞳を輝かせた半田が急に飛びかかるような勢いで抱きついた。Aは目を白黒させて状況を理解しようと必死に頭を働かせる。

「そうならそうって初めから言えよ～！よーしよし、よしっ。先輩が頭撫でてやるからな」

「や、やめっ……やめてってば！」

馴れ馴れしく首の後ろから片腕を回して

引き寄せた半田が犬を可愛がるような

感覚でAの艶やかな髪を何度も撫で回す。