星を超えた想いを29【オリオンの刻印】 (ページ29)

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諦めページ29

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圧倒的力の差を見せつけられ言葉がでない

雷門ベンチの中で今まで試合から

一度も目を逸らさなかったAが口を開いた。

「得点は０対７……この試合、残念だけど」

「…日暮」

Aは目を伏せ、それ以上

何も言わず何も聞かなかった。

見る価値がない、そう言いたげな態度だ。

「そんな言い方ってないぜ」

「そうだよ…日暮」

そんな彼女の態度に腹が立ちながらも

現状では何も言えない、成せない

己自身にも、半田と宍戸は腹が立っていた。

「(私だってこんな言い方したくないわよ……でも、だって。勝ち目がないと分かってる試合で仲間が負けるところなんて、誰だって見たくないでしょ)」

目を伏せたAの眉間に刻まれた皺。

その表情も声も、言葉も誰一人として

気づくはずもなかった。

そこからは目も当てられない試合だった。

"格の違い"

そんな陳腐な言葉で纏め言い表せられるほど

日本とスペインに開いた差は小さくない。

チーム連携としても個々の能力

そのどれもがスペインには遠く及ばず

ただただ時間が過ぎゆくのを待つしか無なかった。

「無理だ…」

「死にそうッス……」

「俺たちで、どうにかなる次元じゃない」

両手両膝をついた風丸とフィールドに座り込んだ壁山、膝に手をついた鬼道が追い詰められた中、大量の汗を零しながら息を乱し、弱音を吐く。

「クソっ！時間が無い……！」

電光掲示板に映る得点スコア表とその中央に記されている試合時間を見上げながら豪炎寺は片目を瞑り、苦渋の表情で焦りを見せた。

「クラリオ、間もなくタイムアップだ。」

もう戦う余力すら残っていない雷門選手に興醒めだとベルガモは鼻を鳴らし、クラリオに声をかける。

「このまま終わるのか？」

「なに？」

ベルガモの意味深な発言にクラリオは首を捻る。するとベルガモとは反対サイドから現れたルーサーが右隣から顔を出すとボールをクラリオへ繋げた。

「見せてやったらどうだ？俺達のレベルを」

「なるほど……それもいいな」

仲間達の提言に素直に頷いたクラリオは

数歩後ろに下がりシュート体勢に入る。

そんな彼の今までとは違う雰囲気に

何かを感じ取った円堂は肩で息をしながら

腰を深く落として、構えに入る。

「ダイヤモンドレイ」

ここに来てクラリオの必殺シュート。

ボールを四方から何度も蹴り込み

ダイヤモンドのような結晶をボールに固め

高度にして発射する強烈な必殺技が炸裂。