ポジティブ ページ25
❀
「円堂くん…」
雷門の絶対守護神である円堂が呆気なくゴールを許してしまい、微動だにしない彼に秋は不安な面持ちでそわやわな円堂を見つめる。
「これはまずいですね。今ので完全にスペインと日本の格の違いを見せつけられたような……」
顎に手を添え、冷静な見解を述べるA。
するとそんな彼女に異議を唱える者が一人。
「何お前まで弱気になってんだよ、勝負はまだまだここからだろ。今のはたまたまだ！」
「さすが半田先輩！」
どっしりと奥のベンチに構えて座った半田のその言葉に、そうだそうだと宍戸たちも納得する。
「いや、半田先輩どこまでポジティブなんですか。あんなのがまぐれシュートなわけありませんって」
変なポジション精神見せなくていいですから、と一度も半田の顔を見ることなくフィールドを見つめたまま放った鋭いAの言葉が容赦なく突き刺さる。
「円堂くん、まだチャンスはあるよ！」
「頑張ってください！」
今まで不安げなその瞳で円堂を映していた秋。このままの状況に黙っていられず手を口元の両端に当ててエールを送る。そんな秋の姿に感化されてAと秋の間に座っていた春奈もまた声を張り上げた。
「そうだ、まだまだチャンスはあるぞ！ほら日暮も声出して気ぃ張ってけ！」
そんな中でも口を噤んだまま試合を見据えていたAに上体を前に倒し、身を乗り出した半田が続くように言うとそこで初めて横を向いたAと目が合った。
「勝てる保証のない試合なのに応援なんてするだけ無駄です。応援することで余計に皆へのプレッシャーがかかるかもしれないのに」
膝の上に乗せていた手が、スカートを
巻き込んで皺を作る。悔しいのはAも
同じだということが隣にいる目金には分かった。
「ですがまだそうとは決まったわけじゃありませんよ。日暮さんはこうやって僕達マネージャーと一緒に声をかけるのが仕事なんですから」
「目金先輩…」
決まった…と言わんばかりに自慢の眼鏡のブリッジを押し上げて得意気に鼻を鳴らして言ってみせた目金にAからの羨望の眼差しが……
「あなたいつからマネージャーになったんですか」
いくはずもなく、見事に砕け散る。
落ち込んだように肩を落として拳を震わせる目金にAは顔色ひとつ変えずに冷めた目を向ける。
(つべこべ言わずに君も応援したらいいんですよ！)
(うわ、逆ギレ)
(かっこわるいぞー、目金)
(半田くん、君はどっちの味方なんですか！！)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 228人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小雪
| 作成日時：2019年4月5日 16時
