牽制 ページ23
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FF優勝校雷門中対バルセロナオーブ。
試合会場の至る所にリポーターやビデオカメラ、記者の者達が押し寄せており日本全体がこの試合を注目しているということが立証されていた。
「行くぞ」
「あぁ。」
雷門ボールからの試合開始を告げるホイッスルが会場全体に響き渡る。互いに相槌を打ち合い、豪炎寺は染岡にボールを託すと自らはトップスピードで駆け上がる。
「一之瀬！」
「オーケー！」
ボールを受けとった染岡もまた、前方を走る豪炎寺に続き、立ちはだかるように迫り来るスペイン選手を前に一之瀬へバックパスを繋げた。
ラインを上げてきた雷門にたいし
スペインは定位置から動こうとしない。
抜かれようともそれを追いかけようとせず
出方を伺っているようにも見える。
「こっちだ、一之瀬！」
「豪炎寺！」
それを好機だとみた豪炎寺が一之瀬から
パスを要求するとキーパーと正面、一対一だ。
「ファイアトルネード」
空中に蹴り上げたボール目がけて自らも回転しながら脚に炎を纏わせて高く飛び上がると、炎をまとったシュートが上空からゴールへ叩き込まれる
「なに！？」
…はずだった。
なんとスペインキーパーアロンソは大人しそうなその顔とは裏腹に大きな体を活かそうともせず豪炎寺のシュートを人差し指のみで止めていた。
十八番とも言える技がこうも簡単にセーブされた。着地した豪炎寺も牽制と言えどこうも容易く止められるとは思わず動揺の色を隠せない。
それだけにはとどまらず、受け止めたばかりのボールを蹴鞠のように足先で軽く豪炎寺の元へと転がすとアロンソは人差し指を向けて、挑発的な態度で突っ立ったまま余裕な表情を浮かべている。
こんなことで取り乱してはいけない。
挑発的な態度に一々反応していたら
それこそ相手の思うつぼだ。
「円堂！」
それならば、と。鬼道がゴール前に構える円堂に呼びかけると二人は豪炎寺の元へと突き進む。
「イナズマブレイク」
豪炎寺からボールを受け取った鬼道が
ボールを上空に蹴りあげ
円堂、豪炎寺、鬼道もまた飛び上がる。
それぞれが左右、そしてオーバーヘッドの三方向から同時にシュートを打ち込み、稲妻が込められたボールがアロンソ目掛けて突き進む。
連携技を用いれば止められまい。
そんな甘い考えを吹き飛ばすような勢いでアロンソは飛び上がると、自らの体重をボールに乗せて地面に押し込むように止めてみせた。
(馬鹿な！)
(あんな止め方…)
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年4月5日 16時
