オールラウンダー ページ11
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フロイは少し芝居がかった仕草で腰のうしろで両手を組み、口元に弧を描き微笑んでから懐かしむような眼差しで目を細め澄み渡る空を見上げた。
「このようにすごい皆さんと最初からお手合わせできるとは、サッカープレーヤーとしてなんてラッキーなんでしょうか。サッカーにおいて、強い相手との出会いはまさに、海において最高の＿＿＿」
説明をしているうちに、いつの間にか話の路線が逸れて違う話題へと移り変わる。 話が長くなると話す方も大変であるが、聞く方も大変だ。 そのうち、話の筋がおたがいにわからなくなるのだから。
「フロイ、長いぞ」
「あ、また喋りすぎ？」
そこで痺れを切らした仲間の一人が自分の世界に入ろうとしたフロイを引き止めると、彼はきょとんとした表情で目を瞬かせてから「あちゃー…」と額に手を当てて半笑いをしていた。
「じゃあ最後に我がロシアイレブンの紹介は……異名はパーフェクトスパーク。完璧なる電光石火」
複数回後頭部を撫でると、フロイは
気を取り直して自チームの紹介を行う。
全員が全ポジションを行うスキルを持ち、尚且つ相手によってチーム個性を自在に変化させることが可能だと補足を付けると、選手達の顔色が変わる。
「誰が攻めて誰が守るのか、それは初めてみないとわからない」
白い睫毛の下に嵌め込まれた美しい
ブルーアイが怪しく光り輝き放つ。
「つまり、全員がオールラウンダー」
「その通りです、ミスA」
フロイは挑戦的な目でAを見、それから短く笑った。 吸い込まれそうな魅力的な笑みだが、彼女には心から笑っているようには思えなかった。
「だとすると分析は極めて困難」
「ジェネラルが通じない相手ってことかな。おもしろいじゃないか」
にわかに信じ難い話ではあるが、息を呑む光とは違って野坂は好戦的な笑みを浮かべる。 油断なく細められた塗り潰された双眼で、フロイを見返す。
「でも手立てはある」
「えっ？」
凛とした落ち着きのある声が隣から聞こえた光は横髪に隠れて顔色を伺えないAを見つめる。
「手立てって…。何か策があるんですか？」
「これでも元監視役よ？データ分析が出来なくても独自で調べあげることならいくらでもできるわ」
こうなればどこまで通用するのか試したくなる。無謀だと分かっていても挑戦したくなるのはAの元監視役としての血が騒ぐからだろう。
(Aちゃんが珍しく燃えてるね)
(燃えすぎな気もしますけど……)
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作者名：小雪
| 作成日時：2019年4月5日 16時
