星を超えた想いを21【オリオンの刻印】 (ページ25)

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思い出ページ25

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「UFOキャッチャーなんて初めてで

本当はしたこと無かったけど………

それでも、Aに喜んでもらいたかった」

いくら投資したか分からない小銭。
慣れないクレーンゲームに苦戦しながらも

二人でハラハラして、ドキドキして

取れなくてイライラしても彼女が傍で

応援してくれるだけで、見守ってくれるだけで

満たされていたのを今も覚えていた。

＿＿＿「やった！」＿＿＿

＿＿「取れ、た………取れました、先輩！」＿＿

＿＿「おめでとう、一星くん！」＿＿

そんなやり取りが、ついこの間のようで、一星はその時の情景を、今でも鮮明に思い描き出せた。

「ぬいぐるみを渡した時に見せた

Aの笑った顔が、忘れられなかった」

花のように見せたあの笑顔が、頭の中で焼き付いて離れなかった。気がつけば目で追っていて、気がつけば意識をし始めていたと、一星は話す。

「だから、お前のその顔が、どうしても
また見たくて海遊館に誘った…
Aの喜ぶ顔がただ、見たかっただけなんだ」

「えっ…」

初めて彼の口から告げられた"デートの理由"。物騒な言葉を並べられて、襲うとか、燃やすとか……そんな言葉の裏には、純粋な想いが込められていた。

それを知ってしまったAは戸惑いから

瞳の中に埋まる黒曜石を激しく

波のように揺らし、目頭が熱くなるのを感じた。

「(充くん、が……私の、ために？)」

「結局、それも行けなくなった、けどな……」

自分を嘲るように笑って、だんだんと

尻すぼみになっていった一星の声。

もう二度と訪れることがないと思うと、それらの場面はすべてがまるで古い映画のように意味のある映像として、Aの胸の奥底に響いてきた。

「だからたぶん……その頃から俺は

お前のことが、好きに、なってたんだと思う」

「みつ、るくん」

自覚したのは最近だけどな、と付け加えた一星。そう言った彼の頬は少し気恥しそうに赤らんでいて、それを隠すように人差し指で掻いていた。

「これが……俺の先輩への今までの想いです」

「＿＿!!」

凛とした蒼眼を細めて、独特の太眉に合わせ、整った彼の顔立ちは、口元に弧を描いただけでも絵になり、そこに微笑を加えてしまえば、絵画のモデルのような綺麗さを顔全面に滲み出させてしまう。

儚さの残る影すらも際立たせて

心の底から微笑んだ一星の姿に

Aは目を奪われ、恍惚とした

眼差しでその姿を瞳に焼き付けていた………。