星を超えた想いを21【オリオンの刻印】 (ページ16)

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「調子に乗るな！！」

DFラインにまで上がった一星光とAの行く手を阻むようにレッドホットチリ・メテオが炸裂。

天を裂き、雲間の間から姿を現した隕石に

一種のトラウマのようなものを感じた

Aはら足が竦んで思うように足が進まない。

「ま、またあの技……」

「大丈夫、先輩！俺の手をしっかり握ってて！」

「え、あ……ひか、るっ」

光の言葉を理解する前に、Aの右手は光の一回り大きな手に包まれるように握られた。

緊迫とした状況だというのに、光の。

充と同じその手の温もりに、重ねてしまった

Aは頬をじんわりと赤らめ

光に手を引かれながら、その背中を見つめていた。

「一見ランダムに見えるが

落下には、法則性がある…！」

一度経験したその技すらも、光は攻略法を独自で編み出した。そして、Aの手を今度こそ離さないようにしっかりと掴んで、引きながら彼女と共に爆煙の舞うフィールドをくぐり抜けていく。

「先輩が今まで、兄ちゃんにしてくれたこと、兄ちゃんを守ってくれた全部を………」

充として生きて、Aと関わっていた記憶を、光は失ってはいなかった。心の中で、第三者の視点で、光はずっと兄の心の中から、彼女を見続けていた。

「今度は俺が先輩に…返す！」

今がその時だと、光の心が叫んだ。

「光くん………」

姿や容姿、口調は違えど、その声は兄の充と瓜二つだった。目を閉じてしまえば、それこそ聞き分けられないほど。Aは光に手を引かれながら、ダメだと分かっていても、その姿を充に重ねてしまう。

隕石の猛攻をかいくぐった二人が

爆煙から姿を現した頃には、既に彼らは

ゴールラインに到達していた。

「そこだ一星！」明日人のその声とともに、光はシュート体勢に入る………………と見せかけて、左サイドへとボールを蹴り出した。

フェイントをかけた先には灰崎とヒロト。

日本代表のツートップFWが待ち構えていた。

光に不意をつかれたファルコンは必殺技を出すタイミングを失い、惜しくも『ペンギン・ザ・ゴッド＆デビル』の前にゴールを許してしまった。

そして、試合終了のホイッスルが鳴り響く＿＿＿

日本対サウジアラビアの準決勝は、二対０。

イナズマジャパンが無失点で

サウジアラビアを制し、幕を下ろした。

スタジアムの観客席からは

スタンディングオベーションで

うおおおぉーというサッカーファン達の

熱い歓声が沸き上げ、会場を轟かせる。