星を超えた想いを21【オリオンの刻印】 (ページ2)

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波状攻撃ページ2

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沸き上がる声援、歓声。興奮高まる

日本対サウジアラビアの試合は

後半開始早々その盛り上がりを見せていた。

一星を除く日本選手は全員が守備に徹し

決死にサウジアラビア選手をマーク。

ボールを一星に集中的に集め、そんな彼を

傍でサポートをするように、Aが横を走る。

「あんたたち、また！」

そんな二人を引き裂くように、アンドレアス、ヒソカが一星の両サイドへ走り、視覚を奪った。

「充くん、そのまま突っ走って！」

「目障りなんだよ、お前！」

妨げられながらも、困惑したままボールを

蹴り続ける一星に声をかけると

顔を顰めたアンドレアスが

舌打ちを零した刹那、Aに肩を寄せ

容赦なく肘で脇腹にタックルをかました。

「うっ、あ…っ」

「A！！」

脇腹の突くような痛みと共に足を滑らせると、バランスが取れなくなったAの重心は前のめりに傾き、切羽詰まった一星の声を聞きながら、抗うことなくフィールドに体を打ち付けしてしまう。

「無様だな」

「あんた、マジでキレ、る…ッ」

フィールドに突っ伏したAを鼻で笑い

アンドレアスは彼女に背を向けて駆け出していく。

Aは痛む腹を抑えながら、痛みに痙攣する

片目でその背中を憎らしそうに睨めつける。

「させない！」

「明日、人」

再び一星へと駆け出したアンドレアスと

ヒソカの前に、すかさず明日人と

氷浦が立ち塞がり、行く手を阻む。

「いっ、た……容赦、なさすぎ」

「日暮、大丈夫か！？」

ヒソカへの警戒を怠らずに、氷浦は

Aに首を傾けて、声をかける。

「う、うん……へ、平気」

…………とは言うものの、むせ返りそうな

吐き気が襲い、容赦なく本気でやりやがった。

と、柄にもなく口が悪くなるのは、きっと神経が逆だっているからだと、Aは自分に言い聞かせた。

「Aッ！！」

「充くん……うし、ろ！」

すっかり、お腹を抑えたまま踞っているAに気を取られた一星は、彼女の声も虚しく、背後から迫った敵選手にボールを奪われてしまう。

しかし一星は、それを気にもとめずに

なりふり構わず、踞まる彼女の元へと駆け出した。

「A、大丈夫かA！」

「大丈夫、だから……そんな顔しないで」

「でも、でもお前が……！」

けほっけほっ、と咳き込みながら痛みに

顔を歪めるAに一星は背中を擦りながら

彼女の顔色を窺うように下から覗き込む。