星を超えた想いを21【オリオンの刻印】 (ページ1)

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運命の後半戦ページ1

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＿＿＿後半開始を告げるホイッスルが鳴り響いた。

時ならぬ歓呼の声が、打ち上げ花火のように

春の潮のどよめきのように沸き起こる。

サウジアラビア代表対日本代表の試合は、イナズマジャパンが一点をリード。実況者の声がマイクからスタジアムのスタンドへと響き渡り、会場の熱気も最高潮だ。

「(俺、は俺は…)」

イナズマジャパンボールからの後半が

開始されると同時に、一星は駆け出していく。

しかし、一星の体は鉛のように重く

足も、鎖に繋がれたように覚束無かった。

「一星くん！」

闇の中を彷徨いながら走っていた

一星の耳に突然、野坂からの声と共に

パスが足元へと繰り出される。

「ナイストラップ、！」

「A……」

かろうじてそのボールを受け取った一星は

痛む頭を抑えながらも、横から

スライディングをけしかけてきた

サウジアラビアの攻撃をかわす。

「本当にやるつもりか！？」

灰崎の切羽詰まった声が聞こえる中

一星は、痛む頭に悩まされながら

息を切らしてドリブルを続けていく。

「いい調子！」

はぁ。はぁ。と顔中に汗を滲ませて

口呼吸を一星が繰り返していると

そんな彼の隣に並ぶように、Aが走った。

「私がサポートする。

だから充くんは、何も気にしないで

おもいっきりサッカーをやって？」

「でも、今の、俺は……足を引っ張るだけにしか」

焦点が定まらず、右へ左へと不規則な

ドリブルを行う一星に合わせて、Aは

彼の道を切り開くように肩を並べて誘導していく。

「うっ…！」
「充くん！」

体と足がついていかず、足を絡まらせた
一星の体が斜めに傾いてしまうが、咄嗟の判断で
腕を掴み、かろうじて彼を支えたA。

「さっきの攻撃が効いてるみたいだな」

「一星を潰すのはもういい」

そんな彼らの様子を迫りながら眺めていた

ヒソカは一星の体力が消耗しているのを

いいことに、愉快そうに笑う。

「それで、あの女はどうします？」

あの女、とヒソカの視線の先を辿った
アンドレアスは一星の隣を走るAを一瞥する。

「アイツにも構うな。オリオン財団が

目をつけた女と聞いて、どんなやつか

期待したが……とんだ期待はずれだ」

献身的に一星を支える彼女の姿を鼻で

嘲るように笑うと「この試合、勝ちに行くぞ」

その指示を下し、アンドレアスは

ボールを維持する一星へと駆け出した＿＿＿＿