星を超えた想いを20【オリオンの刻印】 (ページ42)

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一星の想いページ42

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視線をあてがわれた人差し指に落としてから

背丈の変わらぬ彼女へと、ゆっくり移す一星。

彼女は、目に涙を浮かばせながら整った眉を

情けなく下げて、困ったように泣き笑っていた。

「ごめん、充くん」
「………」
「気持ちは嬉しい……けど」
「………」

一星の唇にあてていた人差し指を

すとん、と滑り落ちるように

下に落とすと、Aの視線も一星から

逸らされ、床へと注がれてしまう。

「Aは、俺の事嫌い、なのか？」

「(違う、そうじゃない、嫌いなわけない)」

胸の内から溢れそうになる気持ちを

下唇を噛むことで、耐え凌ぎ、Aは

髪が乱れるのを気にせず首を横に振り乱す。

「それなら俺の気持ちも………！」

「ダメ、なの」

両肩に手を置かれ、顔を覗き込んでくる一星に

Aは顔を背けて、片目を手で覆うように隠す。

「それでも、俺は！」

一星の必死な想いがAの上から

降りかかり、その度に彼女の心が締め付けられ

張り裂けそうになり、胸が圧迫されて苦しくなる。

「ダメ」

「何が、何がダメなんだよA！」

聞いてもらいたいこと、知りたいことが

溢れてくると、我慢できなくなる。

胸の中に風船があるみたいに、胸の中の何かが膨らんでくるのだ。胸の中で膨らんだものをそのままになんかしておけるはずもなく、一星は掴んでいたAの手首を引いて、その体を胸の中に閉じこめた。

「み、充くん……やめて！」

「離さない……絶対、離さないからな！」

胸板を押し返そうとすれば、一星はAの

後頭部を押さえつけてより強く抱きしめる。

「お前がなんと言おうと、俺はこの気持ちを伝える……そう決めたんだ！！」

「＿＿＿!!」

抵抗していたAの力が弱まると

一星は固定していた後頭部から手を離し

背中に両腕を回して、彼女の肩に顎を乗せた。

「たとえ、ここであんたにフラれても

俺は気持ちが伝えられれば、それで幸せなんだ」

「み、つるくん」

彼女の首筋に頬を擦り寄せると、一星は

ふっと目を閉じて、愛おしげに耳元で囁いた。

その声はじんわりと、Aの脳に蕩けていく。

今までよりも一番優しくて、温かくて

………耳に残るような甘い声に

Aは、胸の鼓動が早くなるのを感じた。

「 ………… 好きです、先輩 …………… 」

彼女の心音に、更なる追い打ちをかけるように

一星は間髪入れずに、その"想い"を告げた。