星を超えた想いを20【オリオンの刻印】 (ページ25)

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保護者ページ25

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一星の手術代を肩代わりすると、提案した

ヒロトに意見するものはおらず

"スポンサーからの賞金で返済できる"。

一星を含んだ誰もがそう思い、「よかったな一星」と明日人達が次々に声をかけていく中…………

「待ってくれないか？ヒロトくん」
「あ？」

今までその話を黙って一星とAの傍で

聞いていた野坂が、口を挟んだ。

「その"必要"はあるのかな？」

野坂の含みのあるその言葉に、Aは

喉を鳴らし、息を呑んで野坂を見つめる。

「そもそも一星くんは

"誰"を助けようとしているのかな？」

野坂の瞳が、無慈悲にも一星を射抜き、見下ろす。

「弟だろ？」
「そ、そうでゴス」

何を今更、とでも言うようにヒロトがさも当然に答え、文通をしていた張本人岩戸も、肯定した。

「ここから先は、私が説明しましょう」

「監督？」

静まり返る中、後ろ手を組んだまま

つくしと杏奈の間からその姿を現した。

「その様子だと、日暮ちゃんは

薄々"何か"を勘づいているのではないですか？」

「(本当に、意地の悪い人……)」

糸のように細めた瞼を開けば、蛇のような

目がAの瞳を捉えて絡みつくように離さない。

意地の悪いその質問。分かっていて尋ねた監督に、Aは不快そうに眉を顰めて、睨めつける。

そんな彼女からの視線を諸共せず

趙金雲はAの前を横切ると一星の隣に

どすん、と無作法な音を立てて腰を下ろした。

「私は鬼道くんと連絡を取り合い

怪しい怪しい一星くんの素性を調べあげました！」

袖口に手を隠しながら、態と"怪しい"を連呼し、冷や水を浴びせるような監督の言い方に、一星は弱りきった表情をすると、しゅん、と頭を垂れさせた。

「監督、あんまり充くんに意地悪な
言い方しないでください！怒りますよ？」

叱られた子犬のような一星の姿に弱いAは

たまらず、子供を守る親のように

一星の腕を引き寄せて、監督から庇うように

彼の頭を抱えて、趙金雲を睨んだ。

「(保護者だ……)」
「(保護者かな)」
「(保護者かよ)」

その姿を遠目から見ていた氷浦、野坂、ヒロトの

三人の心の声が、見事に一致した。

「そ、そんな怖い顔しないでください日暮ちゃん。
か、軽いジョーダンじゃないですか」

「……………………………………」

おちゃらけて見せる監督だが、Aから

受ける無言の威圧に、ダラダラと

滝のように流れる汗を後頭部にかきながら

趙金雲はしばらくの間ら頬を引き攣らせていた。