救いの手 ページ41
❀
暫く、互いに見つめ合ったまま
動かなかったAと野坂の時間は監督の
「二人の世界に入るのはミーティングが終わった後、ベッドの上でお願いしますね〜」
と、冷やかすような口調で手を叩きながら
言った言葉により進んだ。
「ベッドだって。後で君の部屋にでも行こうか？」
「い、いいい……っ意味わかんない！最低！」
差恥と憤怒で茹でダコのように紅潮しながら野坂を睨みあげるAに「冗談だよ」クスッとその反応を見れたことに満足そうに笑うと、最後に彼女の頭に手を置いて、元の席へと戻って行った。
「やるときは声抑えろよ。
お前の声なんて聞きたくねーからな」
片目を開けて、Aを一瞥したヒロトが
ふんっと気に食わなさそうに
鼻を鳴らしてら背もたれに頭を預ける。
「何の話してんのよあんた！！やらないから！
そんなことしないから……！へ、変態！ばか！！」
「ああ？別に何がとは言ってねぇだろ
お前こそ"なに"想像してんだよ、この変態」
カマをかけるようにからかうような口調と
悪戯に口角を斜めに引き上げたヒロトに
何も言い返せず、耳の付け根まで
赤く染めたAは口を金魚のように
パクパクと動かしていたのだった………
野坂が元の席へと着席し、監督は改めて
打倒オリオン財団への旗を掲げる事を話した。
そして事情を聞いた選手たちもまた
闇に包まれた財団の刺客たちと戦う決意を固めた。
「んじゃ、一星は俺達の敵ってことで確定だな？」
「えっ」
そんな中、突然前触れもなく言った
灰崎のその言葉に、Aは戸惑いを見せた。
「なら排除で決まりだ」
「監督、いいですね」
その灰崎の言葉が引き金となるように
一星への疑念を抱かせていたヒロトと
風丸もまた、張り詰めた表情で排除に賛同した。
「ま、待ってよ……」
「俺は反対だ！」
異議を唱えるものが誰一人いない中
Aが狼狽した様子で弾かれるように
立ち上がった刹那＿＿＿彼女の前に座っていた
円堂が、立ち上がり初めて異議を唱えた。
「一星は小さい頃…………父ちゃんを
亡くし、ひとりぼっちになったらしいんだ」
突然、一星の過去を語りだした円堂。
しかしそれよりも驚いたのは
一星の衝撃の真実と過去であった。
どうしようもなかった時
一星を助けたのが＿＿＿＿＿＿＿オリオンだった
(先輩………………………遅い)
(一星くん………)
(あ、すみません。このジュース二人分お願いします)
(かしこまりました、ごゆっくりどうぞ)
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作者名：小雪
| 作成日時：2018年12月23日 19時
