星を超えた想いを16【オリオンの刻印】 (ページ30)

今日:5 hit、昨日:10 hit、合計:293,460 hit

仲間とチームページ30

❀

重々しい空気とその重圧に押しつぶされてしまいそうになっていたAの耳に「確かに……」今まで唇を固く結んで話を聞いていた円堂が口を開いた。

「Aを利用した敵は俺だって許せない」
「なら……！」
「でもな、灰崎」

宥めるように、円堂が言葉を上から被せた。

「Aは"無事"だったじゃないか」
「なんだと？」

高い鼻柱から両方へ思い切ってぐッと

彫り込んだような鋭い深い眼で円堂を睨む灰崎。

「何の理由があって
敵があんなことをしてきたのは分からない」

けど…………、そう言いながら円堂は

一歩、また一歩とAと灰崎の元へと歩み寄る。

「Aは今、こうやって俺たちと一緒に頑張って戦ってくれてる。どんな形であっても俺達は仲間だ」

「円堂さん……」

灰崎の肩に置かれた逆の肩に円堂の

ゴツゴツとした、灰崎よりも一回り大きく

逞しいその手がAの肩に置かれた。

「もしまたそんなことがあっても俺は

Aを信じて戦う。何度だって助ける。

大切なのは、何ができないじゃなくて

何が出来るかってことじゃないか？」

それに、寄り添い合うのがチームってもんだろ？、にひひっと歯を見せて笑う円堂に頭を縦に振ると、Aは灰崎を見上げた。

「灰崎くん……」

「お前は……それでいいのかよ」

眉尻を下げて控えめに頷けば、灰崎は

バツが悪そうな顔で舌打ちを零すと

Aの肩から手を離した。

「ごめん……」

「お前が謝ることじゃねぇだろ」

代わりに、ぽんっと頭に手を乗せられた

Aは一瞬硝子玉のような瞳を大きく

開いたが、すぐに柔らかく細めると

うん。そう言って頬を赤く色づかせた。

「ビッチ」
「はぁ!?」

頭の後ろで手を組んだヒロトがAの
隣にさりげなく並びたちながら呟くと
Aはギロりとヒロトを睨みつけた。

その時「皆さん、御機嫌よう」飄々とした

声と共に、乾いた拍手が響き渡り

その場にいた者達の視線は、自然と

音のしたモニター画面前に注がれた。

「今日は皆さんに

話しておかなければならないことがあります」

叩いていた手を下ろして、後ろ手を組んだ

監督に、Aはそばにいた灰崎と

どちらからともなく顔を見合わせると

再び監督へと視線を投げた。

「皆さんはきっと不審に思っていることでしょう………FFIの試合の"違和感"を」

監督の意図は読めないが、この場にいる

誰もが、喉から手が出そうなほど

欲しがっている情報には、違いなかった。