星を超えた想いを16【オリオンの刻印】 (ページ27)

今日:15 hit、昨日:10 hit、合計:293,470 hit

ちゅるちゅる頭ページ27

❀

「そ、そんな話、今はどうだっていいでしょ！
このっ…………ちゅ、ちゅるちゅる頭！！」

差恥と皆からの視線に居た堪れなくなった

Aは頭を俯かせたまま灰崎が以前

言っていた「ちゅるちゅる頭」という

ワードを持ち出して、腹の底から

振り絞るように言い放った………………。

「……………」
「……………」
「…………？」

が、いつまで経っても反応がなく、不思議に思ったAは片目をそっと開けると、ヒロトを盗み見た。

「な、なによ…………なんで黙るわけ？」

すると鳩が豆鉄砲を食らったかのような

顔をして、目を瞬かせるヒロトと目が合った。

そしてヒロトは、するりと彼女から

横目を移動させながら

「いや………別に」口を片手で隠してそう言った。

「待って、今のどこに照れる要素あった？」

あんたバカなの？と、急に叱られた犬のように

大人しくなり、ほんのりと耳を染めていた

ヒロトに理解不能だと言わんばかりに

眉間にシワを寄せたA。

すると突然、肩にぽん、と誰かの手が乗せられた。

「基山くん？」
「日暮さん」
「えっ……な、なに？」

振り向くとそこには、とても清々しい

表情で笑っているタツヤがいた。

「今日は、その辺にしといてやってくれないか？」
「は？」
「あいつが色々もたないだろうから」
「え、も、持つ？何の話…………」

頭上にいくつものクエスチョンマークを

浮かび上がらせて右、左と首を傾ける

Aと耳を霜焼けのように赤く染めるヒロト。

そして、ある者(野坂)からの刺すような

視線が入り乱れるミーティングルーム。

Aが来る前よりもさらに別の意味で

気まずい雰囲気が流れ出した何とも言えない

空気の中で「どうすんだよ………この空気」

不動のため息混じりのそんな声が

静かな部屋に響いた………………その時。

「ただいま！」

その状況をもろともせず、打破してくれた
英雄_____円堂守が、ミーティングルームの
中へと姿を現し、明るいトーンで挨拶をした。

「え、えええ、ええ円堂さん！！！」
「うるせぇ！！」
「あ、ごめん不動くん」

突然の円堂の登場に、歓喜のあまり爆音の
声で叫んでしまうと、近くにいた不動に
心底迷惑そう顔をされて怒鳴られた。

「キャプテン、もう大丈夫なんですか？」
「よかった、心配しました、円堂さん」

明日人、杏奈に続いて、あっという間に

円堂の周りには取り囲むような輪が

つくられるように皆が集まっていた。