星を超えた想いを16【オリオンの刻印】 (ページ19)

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朝の訪問者ページ19

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廊下のはずれから朝日が射して

はるか向こう側がきわどく明るい。

そんな朝日の眩しさに少しだけ眩しそうに

目を細めると、少年の歩みに合わせて

癖のある青髪がふわりと横に広がり、弾む。

____214号室____

自動扉の静かな音が鳴り、少年は躊躇する

様子も見せずに部屋に足を踏み入れる。

白い木綿のカーテンがふわりと揺れた。

爽やかな風が少年の額に触れ、外から聞こえる小鳥たちの囀りが、もう朝だということを知らせた。

外からは、ぽかぽかとした暖かい日差しが

部屋に射し込み、明るく照らしている。

「…………先輩」

部屋の主である先輩____こと、日暮Aは
布団の中で規則正しい寝息を立てながら
気持ちよさそうに眠っている。

ベッドへと近づいて、眠るAの

視線に顔を合わせるように膝を折った少年は

朝日に照らされて、より艶を出している

彼女の前髪を撫でるように触れた。

「起きてください、先輩」
「…………」

そう言いながら前髪をさらりと一撫ですれば

重力に逆らうことなく髪は横へとしなだれて

純白の白い肌の額が顕になった。

そして少年は何を思ったのか、眠りに落ちている少女の額にまだ残る前髪をそっと掻き分けると、唇を近づけて、ちゅっというリップ音を響かせた。

「ん…………」

擽ったそうな声を鼻から出してもなお、眠り続けるAに少年は悪戯な子供のような笑みを頬に浮かべ、口元に弧を描くともう一度額に口付けた。

一度だけでは飽き足らず、額、鼻先、頬に

唇を寄せては口付けを落とす。

「…………の…………さ、…………くん……」
「！」

口から零れた名前は、少年ではない別の人物。

その名前を聞いた途端、少年は、先程までの

穏やかだった表情を揉み消すと、眉間に

シワを寄せ顔を恐ろしい程までに顰めさせる。

そして、Aの上へ跨るように馬乗りになり

枕に肘をつくと、下顎を持ち上げて

まだ一度も触れていなかった唇に

強引に自身の唇を押し付けた。

「…………ん、っ」

「あいつの名前なんて呼ぶな…………」

唇を離して、先ほどよりも苦しそうな

顔をしているAの耳元で囁くと

子供をあやすように頭を撫でる。

そしてそのまま、後頭部を引き寄せて

舌を挿し込み、歯列をなぞるように口を

開かせると、薄く開いた口の中に

自らの舌をゆっくりと挿し込んだ。

朝日が射し込む、温かい部屋の中で

少年の息遣いと、水音の甘い音だけが響き渡った。