星を超えた想いを15【オリオンの刻印】 (ページ44)

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エターナルランページ44

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「でも、それとAにどんな関係があるの？」

目を上向かせて、人差し指をこめかみに当てながら明日人は、そんな考える素振りを見せる。

「回りくどいこと言っちゃったけど

まあ簡単に言うと、僕の見えない所を

彼女が代わりに見てくれているってところかな」

彼女とはいいコンビが組めそうだよね、と同じフィールドに立てる日を心待ちにしている野坂は、無意識に頬を緩ませて、口角を少しだけ上げて言った。

「何ニヤついた顔してんだよ、気持ちわりぃ」

普段は滅多に笑うことがない野坂が

頬をだらしないくらい緩ませて、柔らかい

瞳でフィールド外にいるAを見つめている。

そんな戦術の皇帝の姿に幻滅したような、呆れのこもった眼差しを灰崎が向けると「もしかして嫉妬？」そんな野坂の的外れの返答が返ってきた。

「誰がするかよ、ばーか。

っとに、お前そういうところ、能天気だよな」

戦術の皇帝様が聞いて呆れるぜ、と盛大なため息をついて、やれやれと首を左右に振った灰崎は野坂から顔を背けると攻め上がる敵を見据える。

「ヒロト！あんたは中盤で相手の出方を伺って！」

怪我してないんだからすぐ反応できるでしょー、とAの声が聞こえて、灰崎はちらりと斜め前で突っ立っていたヒロトへ視線を送る。

「俺に指図してんじゃねぇよブス！」

と、Aに向かって声を荒立てて文句を言いつつも言われたとおり素直に後退していくヒロト。

「とか言いつつ従うんだな、お前」

「うるせぇ！つーか気安く触ってんじゃねぇよ」

下がったヒロトの肩を掴んで、冷やかすような

口調で灰崎が言えばヒロトは眉間に

電光を走らせて乱暴に肩に置かれた手を払った。

「全員速攻だ！」

アナハンのその掛け声の合図と共に、彼を中心としたウズベキスタンの選手たちは、五人体制で攻め上がる陣形へと切り替える。

これが彼らの必殺タクティクスの一つ。
《エターナルラン》だ。

常に五人体制で攻め上がることによって

相手からの視覚を奪い、間合いを

詰めさせないタクティクス。

単調且つ、一見ありがちな技に見えるが

屈強なフィジカルと、スピード、体力

その全てを兼ねそなえている

ウズベキスタンだからこそ、成し得る技でもある。

「でもそれは、あくまで彼らの

体力が続いていた場合の話、なんだけどね」

その様子を、顎に手を当てながら蛇のように

目を細めて、観察するように眺めていた

Aは、ふっと息を吐くように笑った。