星を超えた想いを15【オリオンの刻印】 (ページ37)

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皇帝の制裁ページ37

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「どういう意味だったんだろ」

フィールドで相変わらず動かずにぽつんと

野坂の指示も聞かず佇んでいる一星の姿を

見つめながらAは手の甲を触りながら呟いた。

先程言われた謝罪がなんだったのか

気になって仕方ない。

「謝られるようなことされた、かな

いや……された」

ふと、そんな事を思い返してAは

苦虫を噛み潰したような表情へと変えた。

散々今まで一星に遊ばれていた気がする、と。

洗脳されていたと思ったら、キスをされて

挙句の果てには血縁だのなんだのと……

それを思い出して頬を赤らめる自分を

Aは恨めしく思った。

「みんな、練習の成果を見せろ！

新タクティクス、"コードG"の実行だ！」

その時、フィールドの奥から風丸の

張り上げるようなそんな声が聞こえて

Aの意識はそっちに持っていかれた。

「コードG？」

聞いたことの無いタクティクスに

Aは、きょとんとした顔で首を傾げて

フィールドを見つめる。

「いよいよ仕掛けるみたいですね」
「監督」

すると今までベンチに座っていた監督が

後ろ手を組みながらAが座る

フィールド外へと歩いてきていた。

「仕掛けるって何を？」
「見ていればわかりますよ」

もったいぶる監督に口を尖らせて

再びフィールドに視線を投げていると

「行け！俺の竜巻！」と言う明日人の

そんな声が聞こえた。

同時に、一星と野坂、西蔭を除く日本の選手たちが旋回をし始め、風丸のスピニングウィンドと同じ原理で青い竜巻を生み出した。

「青い、竜巻」

フィールド上に出現したおびただしい数の

青い竜巻は、選手を軸として

引き寄せられるように中央へと集まり始める。

ぽかんと、口を開けて呆気にとられていると、突然「日暮ちゃん」と隣で立っていた監督に呼ばれた。

「はい？」
「手の方は大丈夫ですか？」
「……ああ、はい」

何故今このタイミングで？と、そう疑問に思いながら自分の手の甲を摩って答えていると「そろそろ、皇帝の制裁が始ますよ」と監督は意味深な発言をして目を細め、口角を上げた。

「皇帝の制裁？」

目を細めて語尾を伸ばす時の監督は、何かよからぬ事を企んでいる時だとAは分かっていた。だからこそ、"制裁"と言うその言葉が引っかかった。

「野坂くん……」

Aがフィールドに視線を戻すのと

野坂が明日人たちが作り出した

青い竜巻に勢いよく飛び込み、その気流に

乗ったタイミングはほぼ同時だった。