星を超えた想いを15【オリオンの刻印】 (ページ26)

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支援型と支配型ページ26

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イナズマジャパン、西蔭からのスローイングで

試合が再開されようとしている中で

各選手のフォーメーションを外側から、Aが

指揮すると言う異例の事態を引き起こしていた。

「岩戸くん、辛いなら無理しないで

左サイドで足を休めながら敵の動きを索敵して！」

「ご、ごす！」

岩戸が膝小僧を擦りながらフィールドにしゃがみこんでいたのを先程見ていたAは無理に動こうとした岩戸に制止をかけて索敵に備えるよう促した。

「万作くんは……」
「俺は大丈夫だ、ゴーレムほどじゃない」
「そっか…………じゃあ、万作は……」

スパイクの紐を結び直した万作は爪先でフィールドを三回ノックすると、白線外にいるAに頷く。

「11番を警戒しながら、守りが手薄に

なっている右サイドの守備に徹してもらえる？

リベロの万作くんなら

どんな局面でも瞬時に対応できるでしょ？」

当たり前だろ、と自分な実力を認めて買われたのか嬉しいのか、万作は帽子のツバを持ち、深く被ると「サンキュー、日暮」と片手をあげて礼を言う。それに答えるようにAも手を振り返して微笑む。

そんなAの様子を、日本代表ベンチから

見守っていたつくしたちは彼女の

意外な一面に呆気に取られていた。

「Aちゃんすごい……」
「まるで、チーム全体を支える支援型リーダーね」
「支援型リーダー？」

どういう意味？と、杏奈の言葉に隣でつくしが小首を傾げながら不思議そうに問いかけると、杏奈は分かりやすく説明を始めた。

「支援型リーダーは、チームを引っ張る

野坂くんのような支配型タイプとは違って

その支配型リーダーや選手を支えながら

チームに奉仕する人の事を指しているんです」

どこからか持ち出したか分からない

学校の教師などが使う指示棒を取り出した

杏奈が支援型、支配型という文字を前に

説明をすると、つくしは「なるほど～！」

そう言いながら、ぽんっ、と

自分の手のひらに拳を置いて納得した。

「日暮Aとしての新たな成長でしょうか？」

つくしと杏奈の会話を聞いていた子文が

スマホを弄りながらゲームに没頭する監督に

そう問いかけた。

「おーっほほほ！監視役として鍛えてきた
観察眼と洞察力がここで活かされましたねぇ」

「観察眼と洞察力？」

よっ、ほ！とう、とスマホを左右に

動かしながらボタンを連打している監督に

呆れた目を向けながら、杏奈がつくしの

隣から顔を覗かせて言葉を繰り返す。