星を超えた想いを15【オリオンの刻印】 (ページ24)

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アルテミスリングページ24

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ウズベキスタンの反則判定にもなりかねない

激しいラフプレーが続く中、日本の選手たちの

体力は、酷く消耗しきっていた。

「悔しい…………みんながやられるのを

ただ黙って、ここから見ていることしか

できないなんて…………っ！」

審判が判定を出さない限り、抗議をしたところで、ウズベキスタンのラフプレーが認められるわけではい。Aはフィールド外からただ見ていることしかできない歯痒さと非力さに嫌気が差していた。

「まずいな…………」

疲労が近いのか、野坂も指示を出せずにいた。

DFも上手く機能しない中、攻め上がっていた

ダスト・ゲイルスは追加点を決めるべく

再び「レクイエムダスト」を打ち放つ。

二度敗れた王家の盾はもう使えない…………

西蔭は、迫り来るレクイエムダストを前に
野坂に向かって相槌を打つと意気込むように
獣のような雄叫びを会場全体に響かせた。

そして…………。

「アルテミスリング」

月の女神、アルテミスのエネルギーを糧とし

野坂の月光丸・燕返しと対になるような

神々しいほどの月の力が西蔭の両手に集まる。

屈折した光が時折、狂ったように閃光を

錯綜させ、ゴールの周りに王家の盾とは

比にならないバリアシールドを張り巡らせる。

死霊の魂たちは、その美しさに吸い込まれていくように威力を殺されてしまう。

そしてボールがアルテミスリングの

領域(テリトリー)に侵入した刹那

がっしりと西蔭の片手にはボールが

嵌め込まれるようにキャッチされていた。

「あんな新技を持ってやがったのか!?」

西蔭は今までの雪辱を果たしたと言わんばかりに

ダストに勝ち誇ったような笑みを浮かべる。

そしてダストもまた、十八番である技を

止められてしまったことにより、焦りを生じた。

フィールド外から見ていてもその凄さを

身に染みて感じられた。

「西蔭くん、いつのまにあんな必殺技……

……でも、今の西蔭くんなら、どんな

シュートでも受け止めてくれる気がする」

温存していたのではなく、野坂がいたからこそ

生み出せた新必殺。

固い絆や信頼など、そんな陳腐な言葉では

言い表せない野坂と西蔭の関係に

Aは絶対的な安心感を感じさせられた。

「へえ、いいじゃない西蔭」
「恐縮です、野坂さん！」

野坂に自分の新たな進化とその過程を

見せることが出来た西蔭は、防衛ラインにまで

下がっていた野坂から賞賛の言葉を送られると

満悦な顔をして見せた。