星を超えた想いを13【オリオンの刻印】 (ページ47)

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からかうページ47

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ごくごく、と喉を鳴らして缶ジュースから

唇を離すと「はぁ…」と幸せそうなため息を零す。

半分ほどにまで減ったジュース缶をテーブルに

置いて、肌寒くなったロビーの冷気にあてられた

Aは腰に巻いていたジャージに手をかける。

「そんなに美味いのかよ、それ」

「うん、不動くんも飲んでみたら？」

それ、と言いながらAが置いたばかりの

缶ジュースに視線をあてながら不動が言うと

Aはジュースに袖を通しながら返答した。

「じゃ、お言葉に甘えてそうさせてもらうぜ？」

そう言って立ち上がると、不動は迷うことなく

Aの缶ジュースに手を伸ばして、先程まで

Aが口をつけていた受け口に唇を近づけていく。

「あっ…………ちょっとそれ私の！」

「ケチ臭いこと言うなって、一口飲むだけだろ」

「だ、だめ！じ、自分で買って！」

不動のジャージの袖を引っ張って

引き止めるAの頬は少しだけ赤らんでいた。

そして不動は何かを察したのか、缶ジュースの

受け口と自分を見上げてくるAを

交互に見ると、悪戯好きな子供がするような

微笑みを頬に浮かべた。

「まさか強化委員監視役様ともあろうお方が、"たかが"関節キスで狼狽えてんじゃねーだろうな？」

わざと強調して缶ジュースを左右に振りながら

不気味な程に口角を上げて挑発をすれば

図星だったのか、Aのほんのり色づいていた

頬は面積を広げて顔全体を赤く染めた。

「そ、そんなんじゃないわよ！

ただ私の分が少なくなるからやめてって

言ってるだけで……関節き、キスとか……そんな」

口をモゴモゴさせながら、ぼんっ、と顔から蒸気のような音を立てて俯くAを尻目に「じゃ、飲ませてもらうからな」と断りを入れて不動は「ちょ、待っ……」という彼女の制止も聞かずに缶ジュースに口をつけて液体を喉に流し込んだ。

「お前こんな甘いもんばっか毎日飲んでんのか？」

林檎に蜂蜜を混ぜたような甘ったるい味に

不動は缶ジュースを唇から離すと「太るぞ」と

デリカシーのない言葉を漏らした。

「よ、余計なお世…………わ」

ほらよ、と言って手渡された缶ジュースを

受け取りながらそう言ったAだが

不動の"唇"を見たあとに、自分の唇に

人差し指を当てた途端、おさまりかけていた

頬を再び紅潮させると、Aは慌てて

ハンカチをポケットから取り出した。

(ふ、ふふ不動くん口かして！)
(あ？)
(お、お願いだからそこ座って！)