星を超えた想いを13【オリオンの刻印】 (ページ45)

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大浴場ページ45

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___大浴場____

シャワーの音が滝のように流れ、大浴場に

響き渡る。汗でべたべただった身体は

温かいシャワーの温度に洗い流され

生まれ変わったような気持ちにしてくれる。

蛇口を捻り、シャワーを止めると、髪の毛から水滴が垂れる音がだだっ広いお風呂場に響いた。

「はあ…………一星くんのせいで

せっかくの作戦が台無し…………」

大浴場のドアを横に引けば、塊の白い湯気が

漏れてきて一挙に体が湿り、脱衣場に充満する。

「とにかく、風丸さんと合流してから

次の作戦を立てないと……………」

ピンク色のタンクトップを身につけながら

手探りでカゴの中に入れていた支給された

ばかりの白いTシャツを掴むと、袖に片方ずつ

腕を通すと、ゆっくり頭から被る。

「(約束の時間までまだ少しあるし…………

ロビーでくつろごうかな)」

ジャージを腰に巻いて、イレブンバンドを

手首に巻いて、時間(午後21時)を確認した

Aはタオルを首から掛けて零れ落ちる

水滴をしっかりと拭きながら脱衣場を後にした…。

濡れた髪の毛を拭きながら財布を片手に

欠伸を噛み殺しながらロビーへ到着すると

薄暗がりの中で光る自動販売機の前で

見慣れた髪型をした人物が立っていた。

「不動くん」

モヒカン頭が特徴的なチームメンバーの一人

不動に声をかければ、彼は顔だけをAに

向けると、すぐに自販機に視線を戻した。

「不動くんもお風呂帰り？」

「ま、そんなとこだな」

少々面倒くさそうに受け答えしながら

顎に手を当てていた不動は暫くするボタンに

手を伸ばして、お目当てのものを押した。

派手な音を立てて出てきたコーラを取り出すと

不動は自販機の隣に移動して、キャップの蓋を

開けると、腰に手を当てて喉を鳴らしながら潤す。

「不動くん、よくコーラ飲めるね」

グイグイ飲んでいく不動を横目に財布から

小銭を取り出して投入口に入れていくとAは

迷うことなく林檎ジュースのボタンを押した。

「そういうお前は見かけによらず随分と

お子ちゃまなもん飲むんだな？」

「た、炭酸系が苦手なだけよ」

Aが手に取った缶ジュースを見ながら

不動は唇の端から零れた水滴を親指で拭って

意地悪く言い放てば、Aは少し不満そうな

顔をして不動を一瞥すると、ぷしゅ、という

音を聞きながら缶ジュースのプルタブを開けた。

(不動くんだってトマト嫌いなくせに)
(それお前もだろうが)
(………………)