星を超えた想いを13【オリオンの刻印】 (ページ40)

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協力を仰ぐページ40

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食堂へと辿り着いた風丸が目の当たりにした光景は、何とも違和感のあるものだった……。

「日暮、まさかこれがお前の言っていた作戦か？」

杏奈から注いでもらった味噌汁のお椀を受け取り、配膳に乗せながら風丸が隣でご飯をよそっているAにそっと耳打ちをする。

「はい！事情を説明した明日人に協力を仰いで

他の席は既に占領してもらいました！」

右端のテーブル以外、敷き詰められるように

座ったり、片付けられていたのは

そのためだったのか……と風丸は苦い表情を

顔に浮かべながらAから杓文字(しゃもじ)を受け取った。

「あれなら、必然的に同じ席に座ることができるんです。つまり…………西蔭くんと会話ができる！」

明日人頼んだわよ！と言いながらAが

手を振れば、先にご飯を食べていた明日人は

喉を詰まらせて、盛大に噎せていた。

「大丈夫か明日人!?」

「何やってるんだよ、ほら水飲め！」

氷浦に背中をさすられながら万作から

コップを受け取り、水を一気に飲み干すと

明日人は「し、死ぬかと思った……」と

言いながら今更Aへと手を振り返した。

「大丈夫なのか、あれ」

「…………(なんか不安になってきた)」

一方手を振り返されたAは風丸から

放たれた白けた視線にするりと横目を

移動させながら苦い表情を零していた。

「あ……」

たまたまAが目を移動させた先にいたのは

配膳台からトレーを手に取り、杏奈から

味噌汁を注いでもらっている西蔭の姿だった。

「西蔭くん、こんばんは」

「こんばんは…………」

風丸から杓文字を受け取った西蔭に

勇気を振り絞って声をかければ

挨拶を返してくれた。それが嬉しくて

花が咲いたような笑顔を頬に浮かべるA。

「風丸さん」
「あ、ああ……」

「そっち!?」

まさかのAではなく、風丸に頭を下げて挨拶をした西蔭に風丸も呆気に取られたままトレーを手に目を瞬かせて西蔭の挨拶に応じた。

「あの、西蔭くん」
「………………」

西蔭の背中に声をかければ、西蔭はそんな

Aを一瞥することなく食堂の辺りを見渡すと

食堂の一番右端ある席へと歩いていった。

「日暮、本当にこんな作戦で上手くいくのか？」

「は、話す機会さえあればなんとかなります！」

そう言ってトレーを手に、西蔭がいる

テーブルへと歩いていくAの後ろ姿を

見つめながら、風丸が一抹の不安を

感じていたことなど彼女は知る由もないだろう。