星を超えた想いを13【オリオンの刻印】 (ページ30)

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▼噛み返しページ30

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頂上を過ぎて、だんだんと下へと降下していく

観覧車のとあるゴンドラの中で、くちゅ、と

いう水音だけが響き渡り、二人の耳を刺激する。

「……ん」

舌を入れられ、一星の攻め立てるような、貪るような口付けにAは押し倒されたまま体の自由が利かず、ただただそれに耐えるしかなかった。

「先輩、もっと舌、出してください」

唇を離して、前髪を優しく撫でれば

とろんとした瞳を一星に映したままAは

首を横に振り、否定する…………が

だらしなく開いた唇の中から見えるAの

舌を、唇で挟むようにして軽く引っ張ると

一星は奥まで深く自身の舌を滑り込ませた。

「(苦し……っ)」

片目を閉じて、涙を目元に浮かべて力なく

一星を叩こうとするAの華奢な手を

重ね合わせるように掴んで指先を深く絡ませる。

一星の舌がAの口内を弄っていた、その時

がり、と言う鈍い音が二人の口の中で響いた。

一星はジワジワと伝わってきた舌の痛みに

顔を歪めると、眉間にシワを寄せながら

むすっ、とした表情で唇を離した。

どちらのものか分からない透明な糸が繋がり

Aの唇の端からは血が零れ落ちた。

「先輩ひどいです、舌を噛むなんて」

「ひどい、のはどっち……」

舌を思いっきり噛む、それがAの抵抗だった。

肩で息をしながら、潤んだ瞳で睨みつけると

一星は懲りるどころか再び顔を近づけてきた。

「じゃあ今度は僕が先輩の舌、噛み返しますね」

「えっ……や、やだ！」

まさかそんなことをされるとは思わなかったAは、抵抗する間もなく唇を合わせられる。

そして、僅かに開いた唇からAの舌を

吸いだすと、彼女の赤い舌を甘噛みした途端

一星は目を窄めて笑い、そのまま

彼女の舌を、がりっ、と音を立てて強く噛んだ。

「ん゛っ…」

チリチリとした痛みと、熱を持つ舌に

顔を歪めるAなどには構わず

また舌を挿入させてくる一星に、今度は

Aが絡み合ってくる舌に噛み付いた。

容赦ない鈍い音がして、再び唇を離される。

「っやってくれますね、先輩」

「……」

互いの唇から透明の糸と赤が混じったものが

流れ、Aは荒い息遣いで

血を指先で拭い、舐めとる一星を見上げていた。

それが気に食わなかったのか、一星は

目の色を変えると、無抵抗のAを

起き上がらせると、乱暴に壁へと押し付けた。