星を超えた想いを13【オリオンの刻印】 (ページ24)

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不確かな関係性ページ24

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Aが何も言わないのを悟ってか「どうなんですか」と急かすように聞き返してきた一星に、Aはそっと閉ざされていた唇を開いた。

「そ、そりゃ、家族は大切だけど……でも

家族の大切と仲間の大切は少し違う、って言うか」

「どう違うんですか」

言葉では上手く言えないが、家族と仲間の大切は違う気がする…………歯切れの悪い彼女の返答に間髪入れずに一星は質問を返してくる。

「それは……」
「大切なら普通、すぐに家族がでてきますよね？」
「一星くん…………？」

言葉に詰まっていると、畳変えしてくるように一星が淡々と話していく。そんな彼の様子がおかしくて、Aは眉間にシワを寄せながら眉尻を下げる。

「先輩にとっての"大切"は

家族よりもイナズマジャパンなんですね」

呆れます、と皮肉交じりに鼻で笑った一星に

さすがのAも不快そうに顔を顰める。

「別に、そんなつもりで言ったわけじゃない」

「じゃあどういうつもりで言ったんですか？」

それ以上何も言えず、グッ、と押し黙った

Aに、一星は嘲るような冷たい目を向ける。

普段ならば、景色を見渡しながら笑ったり

駄弁ったりするはずの観覧車。

だが、今その観覧車の一つのゴンドラの中では

重たい空気が流れ始めていた……。

「仲間とか、チームとか…………そんな

関係性が不確かなもの、よく信用できますね？」

頭を俯かせたまま、一語一語を慎重にくるむような、泥濘を歩くような重さで一星は云った。

頭を俯かせたせいで、髪で顔が隠れて一星の表情が窺えないが、膝に置かれている両手がぎゅ、とジャージのズボンを巻き込んで握りしめられている。

「一星くん、何か抱え込んでるなら……

無理して溜める必要ない…………私も

辛い時は豪炎寺さんに悩みを聞いてもらってた」

話すだけでも、大分楽になるよ、と

地上から遠のいた広がる景色を眺めながら

優しい声色で話す中、一星は椅子から

立ち上がると向かい合わせに座ったままの

Aを冷たく見下ろした。

「理由は深く聞いたりしない……

観覧車から降りたら、全部忘れる。

だから、もし泣きたかったり、辛かったり

吐き出したいことがあ……………一星くん？」

景色から視線を逸らして前を向いた途端

いつのまにか、向かい合うように一星が

そこに立っていた。

Aが不思議そうに見上げれば、自然と

上目遣いになるわけで一星は目をすっ、と

窄めるとAの隣に腰掛けた____。