星を超えた想いを12【オリオンの刻印】 (ページ41)

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絡めた手ページ41

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おおかた、暴力事件を起こして記事に

取り上げさせようとしていたのだろう。

「さっきの人と知り合いなの？」
「………………」

Aがそう問いかけるも、一星はそんな彼女にするりと横目を移動させて顔を一瞥するが、何も答えずにまたすぐに目を逸らしてしまう。

「てめぇ、どこまでゲスな野郎なんだよ！」

嵌められかけた灰崎が一星に鋭い視線を

向けて睨みを利かせても、当の本人は

どこか遠い目をしながら息をついていた。

「？」
「………………」

ふと、手に温もりを感じて視線を落とすと

誰かの手が自分の手を掴んで、固く結ばれている。

それが誰の手かなんて聞かなくてもわかった。

「あの、一星くん？」

小さな声でその名前を呼んでも、一星は

その手を離してはくれない。

幸い二人の傍には誰もいないため、手を繋がれていることは灰崎たちの視界からは確認できない。

「…………っ」
「………………」

手を離そうと茂みを見つめながら

自然と抵抗してみるが、一星は

そんな逃げ惑う彼女の手を逃がさまいと

指先を深く絡め合わせて離してくれない。

「Aちゃん、どうかした？」

「い、いえ！何でもありません……」

つくし達に見られたくないという思いから

恥ずかしさが込み上げてきて、どくどくと

高鳴る鼓動と深く繋がれた手に目を逸らしながら

Aは平然を装うことしかできなかった_____。

「は～い、皆さんもうすぐ夕食の時間ですよ～！」

視線を地面に落として、なるべく一星の方を

見ないようにしていたAの耳に、突然

手を叩く音と共に監督の陽気な声が聞こえてきた。

緊迫とした雰囲気をぶち壊すように現れた

監督に「ちょうどいい所に来てくれたぜ」と

灰崎が大股で監督の元へと詰め寄った。

「は、灰崎くん待って！…………あっ、」
「………………」

灰崎の後を慌てて追いかけようとした

Aだが、一星がそれを許してくれない。

「い、一星くんいい加減離して……」

眉尻を下げて小声でそう言っても、一星は

その手を引いて灰崎の元へと走ろうとする

Aを無言で引き戻すだけだ。

「あんたがアイツを野放しにするって

言うんなら、俺達が鬼道に代わって排除するぜ？」

監督のもとへとたどり着いた灰崎が

噛み付くような勢いで抗議すれば、監督は

「物騒なこと言いますねぇ、灰崎きゅん」と

自らの両頬に手を添えながら、語尾に

ハートマークをつけて甘い声でカマトトぶった。